1.はじめに
近年も能登半島を中心に甚大な被害をもたらした能登半島地震(Mj7.6、2024年1月1日)をはじめとした多くの地震が日本国内およびその周辺で発生しています。巨大地震の発生後に、その震源周辺での地震活動が活発化することは広く知られており、気象庁も巨大地震発生後には継続的な警戒を呼び掛けています。図1に示すように2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0、2011年3月11日、以下「東北地震」といいます)の震源周辺では、地震発生から数年間は平時よりも地震活動が活発化していました。一般的にこれらの地震活動の規模は巨大地震の規模よりも小さいです。しかし、巨大地震でダメージを負った建物が活発化した地震活動によって倒壊するケースもあります。このため、巨大地震後の地震活動の変化(特に活発化)は、保険・共済事業者や広域に資産を有する事業者にとって重要なリスク要因であり、巨大地震後の経営判断ではこれらの要因を科学的根拠に基づき反映したリスク評価の実施が望まれます。本稿では、リスク評価の観点から巨大地震発生後の地震活動の変化のモデル化について説明します。
2025/10/17