取扱説明書・警告ラベルに潜むPLリスク

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2020/10/1

 製造物責任(PL)訴訟においては、製品の「指示・警告上の欠陥」を指摘され、PL責任を課されるケースがあります。
 PL責任における欠陥には、「設計上の欠陥」、「製造上の欠陥」、「指示・警告上の欠陥」の3つの類型があります。このうち、「指示・警告上の欠陥」とは、製品自体の安全対策を行った上で残ってしまった製品の危険性について、適切な情報の提供を怠ったことを指します。

 以下は、日本国内において、「指示・警告上の欠陥」が認められた事例です。

 

 上記事例のように、製品の使用方法に関する警告の不足や欠如等を理由に、高額の賠償が認定されるケースもあります。製品そのもののリスクの洗い出し不足を指摘されるのもさる事ながら、取扱説明書や警告ラベルの不備を指摘され、訴訟において欠陥を追及されるケースは多々あります。取扱説明書・警告ラベルの不備に対しては、製品自体の欠陥(設計上の欠陥、製造上の欠陥)と同等の製造物責任を問われる可能性があるのです。

 このように、PL訴訟において「指示・警告上の欠陥」を理由として賠償責任を負わされるケースは少なくなく、PL対策上、取扱説明書・警告ラベルに適切な指示・警告を表示しておくことは、事故の予防、訴訟での防御の両方の観点から重要といえるでしょう。
 常日頃から、自社で取り扱う製品のリスクを把握し、誰が見ても理解できる内容でまとめておくことが製品事故や訴訟への対応につながります。

執筆コンサルタントプロフィール

山元 雅信
製品安全・環境本部 製品安全第一ユニット シニアコンサルタント

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