CDP2022の結果および2023年の回答に向けて

  • 環境

2022/12/27

 2022年12月13日、2022年のCDP(※1)の評価結果が公表されました。CDP2022では、気候変動プログラムにおいて日本の回答要請対象企業が2021年までの500社から東証プライム市場上場の1,841社に拡大されたほか、質問書に生物多様性のモジュールが追加されたなど、様々な変更がありました。そのような中、世界では18,700社以上、日本においてもプライム市場上場企業1,000社を含む1,700社超が回答を提出し、日本の回答提出企業数は米国、中国に次いで第3位となりました(※2)。最も回答企業数の多い気候変動プログラムにおいては、世界で18,636社が回答し、最も良いスコアであるAを獲得したAリスト企業は283社、そのうち日本からは74社と国別で最多となっています。水セキュリティ、フォレストでも国別Aリスト企業数は日本が最多の結果となりました(※3)。

 2022年の結果が公表されたばかりですが、CDPは2023年の開示サイクルに向けて既に動き始めており、企業も2022年の失点項目を確認し、2023年回答に向けて早めに準備することが望まれます。2023年の質問書は2023年1月に公表が予定されているほか、例年通りであればスコアリングメソドロジーは同年3月の公開が想定されます。
 2022年10月には、CDPがコンサルテーションの一環として2023年の質問書の変更方針を一部公表し、変更に対するフィードバックの機会が設けられました。最大の変更点は、プラスチックに関する質問の新設です。このコンサルテーションでは、プラスチック関連の質問は水セキュリティの質問書に組み込まれることが提案されています。2023年は採点対象外になる予定ではありますが、質問案には、定性的な質問だけではなく、ポリマーやプラスチック包装材の販売量などを問う定量的な内容も含まれています。コンサルテーションの詳細はCDPのウェブサイト(※4)よりご確認いただけます。

 CDPは2025年までの5か年計画で、生物多様性やプラスチック以外にも海洋や廃棄物などの新たなテーマの質問書への組み入れや、気候変動、水セキュリティ、森林の質問書を統合する方針を明らかにしています。企業は今後も新しいテーマへの対応が求められますので、CDPの動向を注視して新たなテーマに関する社内の情報収集を進め、また、取り組みを高度化させていくことが望まれます。

 

※1 CDP:企業等に対して、気候変動、水、森林に関する対応状況について質問書で回答を求め、回答結果に対して評価を与える非政府組織。発足当時は「Carbon Disclosure Project」が正式名称だったが、2013年に略称であった「CDP」を正式名称としている。

※2 2022年10月19日リリース「環境情報開示義務化の流れを受け、過去最高の約 2 万組織が CDP を通じて環境関連データを開示」
https://cdn.cdp.net/cdp-production/comfy/cms/files/files/000/006/579/original/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88PR_CDP_disclosure_announcement_final.pdf

※3 2022年12月13日リリース「CDP2022 スコア公表Aリスト企業過去最多も、気候変動、フォレスト、水セキュリティのすべての課題に対して、情報開示とアクションでリードしている企業はわずか 1.3%」
https://cdn.cdp.net/cdp-production/comfy/cms/files/files/000/006/864/original/JPNPR_2022CDPScoreRelease.pdf

※4  https://www.cdp.net/en/companies/consultation

執筆コンサルタントプロフィール

佐藤 美沙紀
製品安全・環境本部 主任研究員

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