「業種別カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(スーパーマーケット業編)」が公表されました

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コラム

2025/4/14

2025年3月に、厚生労働省から「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(スーパーマーケット業編)」(以下、「本マニュアル」という)が公表されました[1]。本稿では、本マニュアルの内容について、「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」 (以下、「従来マニュアル」という)との違いを含めご紹介します[2]

厚生労働省では、カスタマーハラスメント対策に関心を持つ業界団体等が業界内の実態を踏まえ、業界共通の対応方針等を策定・発信するための支援を行っており、その支援の一環で本マニュアルが作成されました。2022年2月には全業界向けの従来マニュアルが公表されていましたが、今回新たに、特定の業界向けのマニュアルが公表されたことになります。

本マニュアルでは、スーパーマーケット業界におけるカスタマーハラスメントの実態や代表的なカスタマーハラスメント行為・類型、企業が具体的に取り組むべきカスタマーハラスメント対策等について紹介されています。そのほか、業界に特化した内容として、スーパーマーケット業界におけるカスタマーハラスメントに対する共通の方針が示されています。

業種別カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(スーパーマーケット業編)
図1 業種別カスタマーハラスメント対策企業マニュアル
(スーパーマーケット業編)
カスタマーハラスメント対策企業マニュアル
図2 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル
 
●カスタマーハラスメント行為への現場での対応方法、企業としての対策

本マニュアルでは、カスタマーハラスメントの類型ごとに顧客対応の現場での対応方法例(図3)を紹介しているほか、カスタマーハラスメント対策として企業として取り組むべき内容について、スーパーマーケット業の企業事例を交えて説明しています(図4)。実際にカスタマーハラスメントが発生している現場だけではなく、企業としてどう対策をするかを検討するうえで参考となる内容が掲載されています。

図3 行為類型ごとの対応方法例(本マニュアルより抜粋)

図3 行為類型ごとの対応方法例(本マニュアルより抜粋)

図4 企業が取り組むべき対策(本マニュアルより抜粋)

図4 企業が取り組むべき対策(本マニュアルより抜粋)

●業界共通の対応方針

本マニュアルでは、スーパーマーケット業界におけるカスタマーハラスメントに対する共通の方針を示しています(図5)。本方針は、スーパーマーケット業を営む企業への実態調査結果も踏まえ、スーパーマーケット業の業界団体と議論のうえ策定されたものであり、スーパーマーケット業の企業において活用できる内容となっています。カスタマーハラスメントに対する方針を未策定の企業においては、本方針も参考に、自社の方針を定めることが望まれます。

図5 業界共通の対応方針(本マニュアルより抜粋)

図5 業界共通の対応方針(本マニュアルより抜粋)

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今回、カスタマーハラスメント対策に関心を持つ業界として、スーパーマーケット業が選定されましたが、今後他の業界においても同様に、カスタマーハラスメント対策の取組が進められるとみられます。また、国や自治体においても、カスタマーハラスメント対策を企業に義務付ける法制化や、カスタマーハラスメント防止条例の制定の動きが進んでいます。企業としては、こうした業界団体や国・自治体の動きも踏まえながら、何より自社の従業員をカスタマーハラスメントから守るため、対策を進めていくことが求められます。

弊社では、企業・団体等の特性・事業環境等の状況を踏まえたカスタマーハラスメント防止に関するご支援を行っております。下記のリンクから詳細をご確認ください。

カスタマーハラスメント対策支援サービス別ウィンドウで開きます

脚注

[1] 厚生労働省「業種別カスタマーハラスメント対策企業マニュアル (スーパーマーケット業編)等を作成しました。」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_55395.html
[2] 厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf

執筆コンサルタントプロフィール

千田 遵
製品安全・環境本部 主任研究員

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