高齢者を取り巻く製品の安全設計・開発を目的とした事業者向け資料が公表されました
- 製品・サービス
2020/5/1
2020年3月、経済産業省は、製品開発事業者に向けて、安全な製品設計・開発に活用してもらうことを目的として、高齢者の行動の特性・高齢者を取り巻く環境等に関して検討すべき点をまとめた資料(*1)を公表しました。本資料は、将来的に安全基準・規格等の策定に関する草案的な位置づけとすることが考えられています。
本資料では、以下の2点を念頭に置いたうえで、製品開発事業者が製品設計・開発時に検討すべき事項10項目が提案されています(下図)。
【考慮すべき製品使用者】
高齢者のみならず、ケアラー(高齢者の家族、介護者など)が製品を使用する際の安全性や使用感も検討範囲とする。
【検討対象とすべき製品】
高齢者が使用することを前提とした製品(介護ベッド、車椅子など)だけでなく、高齢者が使用する可能性のある製品(椅子、脚立など)すべてを検討対象に含める。


高齢者(65歳以上)の国内総人口に占める割合は2019年9月時点で28.4%、2025年には30%になると推定されています(*2)。
高齢者人口の増加に伴い、全年齢を対象とした製品であっても高齢者の手に触れる機会はますます増えると推測され、今後はより一層安全、ユニバーサルデザインの考え方が製品設計・開発時に求められます。
このような社会環境の変化に対応した製品設計・開発のヒントの一つとして、今回ご紹介した検討事項10項目をご活用されてはいかがでしょうか。
*1:経済産業省 「高齢者の生活機能変化に配慮した安全に関するユニバーサルデザインの実現に向けて~製品開発・製造事業・製品サービス提供者の皆様へ~」 https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200325002/20200325002-2.pdf
*2:総務省統計局 「表2 高齢者人口及び割合の推移」https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1211.html
執筆コンサルタントプロフィール
- 飯野 晶
- 製品安全・環境本部 主任研究員