消費生活用製品のリコールハンドブックが改訂されました
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2019/9/2
2019年7月に、経済産業省が作成・公表している消費生活用製品のリコールハンドブック(※1)が改訂されました。
主な改訂内容は、事業者がリコールを実施するにあたり課題となっていた、リコール実施率(※2)の考え方と、経済産業省へのリコールの実施状況報告の頻度と終了の考え方の2つです。
■リコール実施率の考え方
これまで、リコール実施率の算出式は「リコール実施率=リコール実施数/リコール対象数×100」としていましたが、事業者の努力にも関わらずリコール実施率が向上しない事案が少なくありませんでした。そこで、消費者の手元に残存する対象製品の数量が、廃棄等により経年とともに減少することを踏まえた、リコールの補正実施率の算出式が提示されました。
【算出式】
補正実施率=(リコール実施数+推定廃棄数)/リコール対象数×100
■リコールの実施状況報告の頻度と終了の考え方
リコールの進捗報告の頻度や終期が明確になっておらず、事業者によってばらつきが発生する等の課題があったため、これらの考え方を明確化した基準が追記されました。
【リコールの進捗報告の頻度の基準】
1年目は3か月ごと、2年目以降は6か月ごと
【リコールの進捗報告終了の基準】
・リコール開始時からリコール要因による製品事故が発生していない期間が3年以上経過していること。
・上記に加え、下記①、②のいずれかの条件を満たすこと。
①リコール実施率、もしくは市場残存率を反映した補正実施率が90%を超えていること。
②リコール実施事業者の努力にも関わらず、リコール実施率が頭打ち状態に達し2年間経過していること。
今回の改訂では、事業者がリコールを行う際に課題となっていた点について見直しが行われましたが、実際にリコール開始後に製品事故が発生したケースもあり、事業者においては、確実に回収率を上げられるよう、リコールを適切に実施するための準備と継続的な取り組みが望まれます。
公的機関への報告、回収状況の評価、回収率の向上のための対策等、製品リコールに関するご相談・ご質問等がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
(※1)経済産業省 消費生活用製品のリコールハンドブック2019(全体版)
https://www.meti.go.jp/product_safety/recall/recall_handbook2019_all.pdf
(※2)リコール実施率(数):消費生活用製品のリコールハンドブックでは、改修・交換等の対策率(数)、回収率(数)等を合わせて、リコール実施率(数)という。
執筆コンサルタントプロフィール
- 村上 和
- 製品安全・環境本部 エキスパートコンサルタント