男性の育児休業取得促進に向けた法改正について

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2021/3/22

  第204回通常国会に改正育児介護休業法案が提出され、男性の育児休業取得促進に向けた取り組みが一層進められる見込みとなっています※1。主な改正内容は以下のとおりです。下記項目「2」「5」は2022年4月1日、「1」「3」は早ければ2022年10月1日、「4」は2023年4月1日の施行が見込まれています。

1.子の出生直後における柔軟な育児休業の枠組みの創設(2022年10月1日施行※2)
  子の出生後8週間以内に、合計4週間の休業を最大2回に分割して取得することができる柔軟な育児休業の枠組みが創設されます。
  また、以下の点も変更されます。
  ・現行1か月前とされている休業の申出期限を、原則休業の2週間前までに変更。
  ・労使協定を締結している場合に、労働者と事業主の個別合意により、休業中の就業を許可。

2.雇用環境整備、妊娠・出産を申し出た労働者に対する周知・意向確認の措置義務付け(2022年4月1日施行)
  以下の措置を講ずることが事業主に義務付けられます。
  ・育児休業の申出・取得を円滑にするための雇用環境の整備に関する措置
  ・本人または配偶者の妊娠・出産の申出をした労働者に対して事業主から個別の制度周知、休業の取得意向の確認のための措置

3.育児休業の分割取得(2022年10月1日施行※2)
  育児休業(1.を除く)について、分割して2回まで取得することが可能となります。

4.育児休業取得状況の公表義務付け(2023年4月1日施行)
  常時雇用する労働者数が1,000人超の事業主に対し、育児休業の取得の状況について公表が義務付けられます。

5.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(2022年4月1日施行)
  有期雇用労働者の育児・介護休業の取得要件のうち、「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」の要件が廃止されます。

 

 今後施行される各事項に適切に対応するための準備には一定の時間を要すると考えられます。例えば、管理職、従業員の意識付けを行うための教育・研修の実施、対象者に適切に周知するための方法の検討・実施、制度変更・追加のための就業規則の改定など、「まだ期間があるから大丈夫」と考えず、今から取り組みを開始することをお勧めします。

 

※1 厚生労働省「第204回国会(令和3年常会)提出法律案」(https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/204.html)

※2 法律上は、「公布日から1年6月を超えない範囲内で施行」とされており、期日が明記されているわけではありませんが、早ければ2022年10月1日の施行が見込まれます。

 

 

執筆コンサルタントプロフィール

関本 高史
製品安全・環境本部 エキスパートコンサルタント

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