男性の育児休業等取得率の開示状況に関するアンケート結果が公表されました
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2024/8/1
2023年4月から、育児・介護休業法改正により、従業員数1,000人超の企業に対して男性の育児休業等の取得率の開示が義務化されました。これを受け、厚生労働省「イクメンプロジェクト」では、従業員数1,000人超の企業・団体に対して、男性の育児休業等取得率などの開示状況に関するアンケート調査を実施し、その結果が公表されました。
(https://ikumen-project.mhlw.go.jp/event/)
アンケート結果の概要は以下のとおりです。
・ アンケート回答企業(従業員数1,000人超の企業・団体)における男性の育児休業取得率は、46.2%※1
(ご参考:厚生労働省「令和4 年度雇用均等基本調査」における、日本全国の従業員数5人以上の企業の事業所における男性の育児休業取得率は17.13%)
・ アンケート回答企業における男性の育児休業取得日数の平均は46.5日※2
・ 男性の育児休業取得率が高い(80%以上)企業群では、「自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供」や「育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施」の取組割合が高い傾向が見られた
→育児休業取得事例の収集・提供や育児休業に関する研修の実施が、男性の育児休業取得率の向上に寄与している可能性がある。
・ 男性の育児休業取得率向上の取組または取得率向上による効果としては、「職場風土の改善」(56.0%)や「従業員満足度・ワークエンゲージメントの向上」(45.9%)の回答割合が高かった
・ 男性の育児休業等取得率などの公表による効果・変化としては、「社内の男性育休取得率の増加」(44.5%)や「男性の育休取得に対する職場内の雰囲気のポジティブな変化」(42.4%)の回答割合が高く、次いで「新卒・中途採用応募人材の増加」(11.1%)の回答割合が高かった
→男性の育児休業取得率の公表により、人材獲得の面でも効果を感じている企業がある。
※1:回答企業のうち、前事業年度に配偶者が出産した男性労働者がおり、同年度に育児休業等を開始した男性労働者の数を集計している企業(853社)における計算値(男性の育児休業等取得率に育児目的休暇を加えて計算している企業は集計対象としていない。)
※2:回答企業のうち、前事業年度に育児休業を終了し、復職した男性労働者がおり、同労働者の育児休業平均取得日数を集計している企業(614社)における計算値
このように、従業員数1,000人超の企業(アンケート回答企業)においては、男性の育児休業取得率は日本の全国平均に比べて大幅に高く、また、取得期間も1.5カ月と比較的長い期間になっていました。加えて、取得率向上の取組の実施や取得率の公表によるメリットを感じている企業も多いことがわかりました。
現状では従業員数1,000人超の企業に対して課されている、この開示義務の対象範囲が拡大されるといった報道もあります。義務化による影響とはいえ、多くの企業が男性の育休取得率向上の取組を実施し取得率を公表している現状で、取組・公表を実施しなければそのメリットを享受できないばかりでなく、「遅れている企業」として取り残されてしまう懸念があります。
ぜひこのアンケート結果を参照し、男性の育児休業取得率向上の取組や公表を進めてください。
執筆コンサルタントプロフィール
- 関本 高史
- 製品安全・環境本部 主席研究員