新規上場に当たっての製品コンプライアンス体制の構築のすすめ

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2022/3/2

 企業が新規上場を行うに当たっては、主幹事証券会社や証券取引所による上場審査を受ける必要があります。この上場審査の項目の一つである「企業のコーポレート・ガバナンスおよび内部管理体制の有効性」に関連して、製造業等の企業が新規上場を目指す場合の製品安全管理体制および製品に関わる法令遵守管理体制(以下「製品コンプライアンス体制」)の構築について考えてみます。

■製品コンプライアンス体制の位置づけ
 証券会社および証券取引所による上場審査での審査項目の一つに、「コーポレート・ガバナンスおよび内部管理体制が整備され、適切に運用されていること」があります。この中で、企業は、上場会社として経営活動を適切かつ継続的に行っていくための管理体制が相応に整備・運用されていることや、事故等を未然に防止し、不測の損失を防ぐなど適切な対応ができる状況にあることなどが求められます。加えて、企業活動に関係する法令等を遵守するための有効な体制が適切に整備・運用されていることも要求されます。したがって、製造業にとって「製品コンプライアンス体制」は、「コーポレート・ガバナンスおよび内部管理体制」の重要な一部となります。

■社内規程の整備・運用について
 コーポレート・ガバナンスおよび内部管理体制の基礎は、社内規程の整備とその適切な運用です。社内規程は、会社の業務が組織的に運営されるために必要なルールを明文化したものであり、上場審査では、必要な社内規程が整備されており、かつ、その規程に沿って実際に運用されているかどうかが確認されます。社内規程は作成して終わりではなく、実際に運用することが重要です。逆に言えば、社内規程は運用可能なものでなければなりません。
 製品コンプライアンス体制の構築に当たっては、製品コンプライアンス(製品安全・法令遵守)に関する社内規程(※)を適切に整備し、かつ、それらの規程に沿った実務を行っていくことが必要となります。

  新規上場を念頭に置いて製品コンプライアンス体制を構築するに当たっては、現在の取組状況や規程整備状況等を確認するところから始めることをお勧めします。

 

※ 設計・開発管理規程、不具合発生時対応規程、外注先管理規程、法令遵守管理規程など

 

執筆コンサルタントプロフィール

栁瀨 慶朗
製品安全・環境本部 主席研究員/プロジェクトマネージャー

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