ロボットサービスの安全規格(JIS)が制定されました

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2019/7/4

 近年、人口減少、少子高齢化、エネルギー・環境の制約など、多様社会課題を解決するため、ロボットの導入が進んでいます。今後、工場内で稼働する「産業用ロボット」だけでなく、一般の人が利用する施設(例:商業施設、駅・空港、医療・介護施設)など様々な利用環境で稼働する「サービスロボット(※1)」も導入が進むことが予想されます。

 政府が公表している「未来投資戦略2018(※2)」の中では、製造分野で約7,125億円、非製造分野で約1,446億円であった2016年のロボット国内生産市場規模を、2020年には製造分野で1.2兆円、サービス分野など非製造分野で1.2兆円とすることを目指すとされています。 

 

■サービスロボット運用時の安全確保に向けた規格の制定
 現在、産業用およびサービスロボットともにロボット本体の安全規格があり、産業用ロボットについてはISO45001 や労働安全衛生法で運用時の安全について規定されています。一方、サービスロボットの運用についての規格がこれまでありませんでしたが、2019 年5 月20 日に「サービスロボットを活用したロボットサービスの安全マネジメントシステムに関する要求事項」が、JIS 規格「JIS Y 1001」として制定されました(※3)。
 この新規格では、ロボットを用いてサービスを提供するロボットサービスプロバイダー(※4)に求められる、安全管理や運用に関する事項が体系化、標準化されています。

■リスクアセスメント(RA)の実施
 産業用ロボットと異なり、サービスロボットは一般の人が利用する施設等で使用されるため、ロボットサービスプロバイダーによる安全管理が重要となります。
このため新規格「JIS Y 1001」では、ロボットサービスプロバイダーがロボットサービス特有の安全上の課題や問題を、リスクアセスメント(RA)を実施して明らかにし、安全管理などを行うことで運用時のリスクを低減することを求めています。
 また、新規格およびその解説では、RA 実施にあたってのポイントがあげられていますが、特に重要なポイントを2つご紹介します。

【ポイント①】RA 実施にあたっては、ロボットメーカーからの使用上の情報、施設・場所提供者から使用環境の情報を入手すること。
【ポイント②】ロボットサービスプロバイダーだけでなく、ロボットメーカー、施設・場所提供者、第三者専門家も活用して、複数の視点でRA を実施すること。

 

 このように、一般の人が利用する施設等にサービスロボットを導入する際は、利用環境を踏まえ様々な視点を取り入れてRA をすること、業務効率化や利便性の向上だけでなく安全対策についても検討をしっかり行うことが望まれます。
 サービスロボットの導入に向けた安全対策に関するご相談・ご疑問・ご質問等がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

(※1) ここでの「サービスロボット」とは、産業オートメーションの用途を除き,人又は機器のために有用なタスクを実行するロボットを指します。(JIS B 8445参照)

(※2)未来投資戦略2018(全体版)
  https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2018_zentai.pdf 

(※3) 経済産業省ニュースリリース(2019年5月20日)
https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190520003/20190520003.html 

(※4)サービスロボットを事業として運用し、サービスを提供する事業者を指します。(JIS Y 1001参照)

執筆コンサルタントプロフィール

加藤 陽介
製品安全・環境本部 エキスパートコンサルタント

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