用途変更の際の注意点

  • 不動産リスク

2024/4/26

 近年、既存の建築物を購入し、リノベーションを実施した上で他の用途に変更するケースが増えてきています。しかし建築物の用途を変更する際には、変更する用途と規模によって確認申請の手続きが必要となります。このコラムでは用途の変更をする際の必要な手続きの有無と注意点について説明します。

用途変更について

 建築物には必ず用途(使用目的)が定められています。この用途を他の使用目的に変更することを用途変更と言います。具体的には住宅から老人ホーム、物販店舗から飲食店等の例が数多く見受けられます。建築物全体で用途変更をする場合もありますが、建築物の一部分だけを用途変更する場合もあります。

確認申請が必要なケースと不要なケース

 用途を変更する際の確認申請の要否は以下2つの条件の両方に当てはまるかにより決まります。1つ目は変更後の用途が建築基準法別表第1(い)欄に記載されている特殊建築物に該当するか、2つ目は変更する部分の面積が200㎡を超えているかです。2つの条件の両方に該当する変更を行う場合は用途変更の確認申請が必要です。なお2つ目の基準については令和元年6月25日に法改正が行われており、変更した時期が令和元年6月24日以前の場合は変更する部分の面積が100㎡を超えると確認申請が必要でした。
 また、類似の用途への変更の場合は確認申請が不要です。ホテルから旅館等、建築基準法施行令第137条の18に記載されている同じ号同士への用途の変更の場合は、変更する規模が200㎡を超えていても確認申請が不要です。

 

用途変更の際の注意点

 用途変更を行う前の注意点として既存建築物の遵法性を把握しておくことが重要です。既存建築物が既存不適格建築物なのか違法建築物なのかを事前に把握しておくことでその後の業務をスムーズに行うことができます。違法建築物の場合は、確認申請の受付を断られる可能性がありますので、違法部分の是正方法等について行政と相談が必要です。
 また、確認申請が不要な用途の変更の場合でも、建築基準法への適合が必要なため、一級建築士等専門的な知識を持つ方への相談を推奨します。

工事完了後の完了検査は不要?

 新築時の確認申請の場合、工事完了後には完了検査を受けますが、用途変更の場合、完了検査を受けることができません。代わりに特定行政庁への工事完了届の提出が必要です(工事完了届の提出は確認申請が有の場合のみ)。そのため、建築物が図面通りに施工されているかをお客様自身で確認いただく必要があります。

 東京海上ディーアールでは、改修図面の確認をする机上調査、改修後の現場を確認する現場調査等様々な状況に合わせた遵法性調査を行っております。用途変更時の確認申請手続きと併せての対応も可能ですので、お悩みの点がございましたらご相談ください。

※1 国土交通省住宅局建築指導課「建築基準法改正により小規模な建築物の用途変更の手続きが不要となりました!」よりイラスト引用
https://www.mlit.go.jp/common/001299734.pdf
※2 弊社作成

執筆コンサルタントプロフィール

德田 大樹
不動産リスクソリューション第四ユニット 主任研究員

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