欧州委員会の「EU製品安全表彰」をご存じですか？

　日本では、企業や団体の製品安全に関する優れた取り組みを表彰する制度である、経済産業省の「製品安全対策優良企業表彰」（※1）がありますが、EUにも同様の制度として「EU製品安全表彰」（EU Product Safety Award）があります。以下で、EU製品安全表彰の概要と、2021年の受賞企業を紹介します。

■EU製品安全表彰とは
　欧州委員会が2年に一度実施するEU製品安全表彰は、消費者保護のために最大限の努力をしている企業の取り組みを表彰し、EU全体の消費者製品安全の水準を向上させることを目的としています。応募資格の審査を経て、政策と安全の専門家からなる審査委員会が、各部門の最終候補企業を選出します。最終選考に残った企業は、国際的に認められたCSR（企業の社会的責任）の基準に照らして審査されます。受賞企業は、「革新性」、「インパクト（安全向上への貢献度）」、「他企業への好影響の可能性」、「企業の製品安全プロセス」の4つの要素に基づいて決定されます。

■企業の製品安全プロセス
　受賞企業を選定するための4つの要素のうち、「企業の製品安全プロセス」に関しては、特に以下のような社内プロセスについて評価されます。

• 製品のライフサイクルを通じ、製品の安全性を監視し、維持するためのプロセス
• 危険な製品を検出し、消費者から回収するためのプロセス
• 製品の安全性について消費者とコミュニケーションをとり、顧客からのフィードバックを活用するプロセス
• 製品の安全性に関して、公的機関や他のステークホルダー（サプライヤー等）と協力するプロセス
• 新型コロナウイルス感染症に関する課題に対応するためのプロセス
• 持続可能性の課題に対応するプロセス

　上記の項目は、欧州委員会が重視している企業の製品安全プロセスと捉えることができます。この中に新型コロナウイルス感染症や持続可能性（サステナビリティ）の課題への対応が含まれていることは、本制度が社会情勢の変化に対応しようとしていることの証左と言えるでしょう。

■2021年EU製品安全表彰の受賞企業
　2021年9月28日、欧州委員会は、2021年EU製品安全表彰の受賞企業を発表しました。第2回目となる今回は、「脆弱な（被害に遭いやすい）消費者群の保護」と、「安全性と新技術の融合」という2つのカテゴリーで、中小企業と大企業に別々の賞を設けています。
　実際の受賞企業は下表のとおりです。

　より詳しい情報は、欧州委員会のウェブサイト（※2）をご参照ください。

※1　製品安全対策優良企業表彰 - 経済産業省（https://www.meti.go.jp/product_safety/ps-award/）

※2　EU Product Safety Award（https://ec.europa.eu/safety-gate/#/screen/pages/safetyAward）、The Commission honours winners of EU Product Safety Award（https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_21_4823）