機能性表示食品等による健康被害の情報提供が義務化されました

  • 製品・サービス

コラム

2024/10/28

2024年8月、食品衛生法施行規則等が改正され、2024年9月1日より、機能性表示食品の届出者および特定保健用食品に係る許可を受けた者(以下まとめて「事業者」という。)に対して、機能性表示食品および特定保健用食品による健康被害の情報提供等が義務化されました。

 

 事業者に義務付けられた遵守事項は以下のとおりです。
①    機能性表示食品および特定保健用食品(以下「機能性表示食品等」という。)の摂取に伴う健康被害に関する情報を収集する
②    健康被害の発生および拡大のおそれがある旨の情報を得た場合は、当該食品との因果関係が不明であっても速やかに都道府県知事等(都道府県知事、保健所を設置する市の市長または特別区の区長)および消費者庁長官に情報提供する
※    医師の診断を受け、当該症状が当該食品または添加物に起因するまたはその疑いがあると診断されたものに限る。 

 上記②の「健康被害の発生および拡大のおそれがある旨の情報を得た場合」とは、同一の機能性表示食品等による健康被害のうち、同じ所見の症例が短期間に複数発生した場合を指します。ここでいう「同じ所見の症例」とは、具体的には、情報提供の様式の「事業者使用欄」(図1)の「主な症状」が同一のものを指します。また、「短期間に複数発生」とは、概ね30日以内の間に、同じ所見の症例が2例発生した場合を指します。ただし、死亡事例、入院治療を受けた場合であって医師が重篤と判断した症例、入院治療を受けていない場合であっても医師が重篤と判断した症例については、1例であっても情報提供を行う必要があります。
 情報提供の期限は、事業者が健康被害を診断した医療機関名を知った日を0日として、15日以内とされています。

図1 「健康食品の摂取に伴う健康被害情報提供票」の「事業者使用欄」(抜粋)

 情報提供の対象となる健康被害には、医師が診断した症例のうち、機能性表示食品等の摂取との因果関係が不明なものも含まれます。一方、摂取時期と症状の発生時期から無関係と考えられる場合や、医師が因果関係を否定する診断をした場合等は情報提供の対象外となります。

 今般の情報提供義務に違反した場合は、食品表示法に基づき、機能性表示を行わないよう指示・命令する行政措置や、食品衛生法に基づく営業の禁止・停止の行政措置も可能となっており、事業者はこれまで以上に厳密に対応する必要があるといえます。機能性表示食品等以外の食品については、健康被害の情報提供は努力義務となっていますが、危機管理の観点からは、特に重篤な健康被害の発生を知った場合には、食品との因果関係が不明であっても、当局に報告・相談した方がよいといえるでしょう。

厚生労働省 「機能性表示食品等に係る健康被害の情報提供について」(健生食監発0823第3号(令和6年8月23日))
消費者庁 「機能性表示食品の今後について」令和6年8月

 

この記事に関連するサービスはこちら別ウィンドウで開きます

執筆コンサルタントプロフィール

木本 博之
製品安全・環境本部 エキスパートコンサルタント

コンサルタントの詳細

コラムトップへ戻る