2023年4月から新しい遺伝子組換え表示制度が施行されます

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2023/1/18

 2023年4月1日より改正食品表示基準※1が施行され、遺伝子組換えに関する任意表示制度が改正されます。企業においては、「遺伝子組換えでないものを分別」「遺伝子組換えでない」等の表示をしている製品について、表示の切り替えを行うか、表示を切り替えない場合には遺伝子組換えの混入がないことを確認する必要があります。以下、新制度の留意点について解説します。

■「遺伝子組換えでないものを分別」「遺伝子組換えでない」等の表示に求められる要件が変更
 現行制度では、分別生産流通管理をして、遺伝子組換え農産物の意図せざる混入を重量に占める割合で5%以下に抑えている大豆およびとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品について、「遺伝子組換えでないものを分別」「遺伝子組換えでない」等の表示が可能となっていますが、新制度では、分別生産流通管理をして、遺伝子組換えの混入がないと認められる場合にのみ、これらの表示が可能となります。よって、分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆およびとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品については、適切に分別生産流通管理された旨の表示は引き続き可能ですが、混入がないと認められない限り、「遺伝子組換えでない」等の表示をすることはできなくなりました。
 なお、大豆およびとうもろこし以外の対象農産物※2を原材料とする加工食品に「遺伝子組換えでない」等と表示する場合も、遺伝子組換え農産物の混入が認められないことが条件となります。

■遺伝子組換え農産物の混入がないことをどう確認するか
 遺伝子組換え農産物の混入がないことを確認する方法として、消費者庁の案内※3において、第三者分析機関による分析や、取引先から以下の証明書等を入手することが挙げられています。

①生産地で遺伝子組換えの混入が無いことが確認され、混入のおそれのないコンテナ等で輸送され、製造者の確認の下で開封していること
②国産品または遺伝子組換え農産物の非商業栽培国で栽培され、生産・流通過程で遺伝子組換え農産物の栽培国からの輸入品と混ざらないことを確認していること
③生産・流通過程で、各事業者において遺伝子組換え農産物が含まれていないことが証明されており、その旨が記載された分別生産流通管理証明書を用いて取引を行っていること

 ①~③のすべてで、生産~流通過程で混入が起きていないことの確認と、混入が起きないための管理が必要になります。また、行政が行う検証・調査によって遺伝子組換え作物が含まれていることが確認された場合には、不適正な表示となってしまうため、企業においては、上流での管理が適切に行われているか、定期的に監査する必要があると考えられます。

■企業に求められる対応
 現在「遺伝子組換えでない」旨の表示をしている商品について、遺伝子組換え農産物の意図せざる混入が無いことを担保・証明することが難しい場合は、適切に分別生産流通管理を行っている旨の表示に切り替える必要があります。改正後の食品表示基準が施行される前に製造された商品(例えば、倉庫にある商品在庫)は施行後も販売することが可能ですが、改正後に製造された製品と紛らわしくなってしまうため、できる限り、施行前までに食品表示の切り替えを進めるとよいでしょう。

※1 食品表示基準:食品表示法に基づく内閣府令
※2 対象農産物:大豆(枝豆および大豆もやしを含む)、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤ、からしな
※3 消費者庁「知っていますか?遺伝子組換え表示制度」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/genetically_modified/assets/food_labeling_cms202_220329_01.pdf

執筆コンサルタントプロフィール

木本 博之
製品安全・環境本部 エキスパートコンサルタント

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