消費生活用製品のリコールハンドブック2022が公表されました

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2023/5/1

 2023年4月、「消費生活用製品のリコールハンドブック2022」(以下、リコールハンドブック)が公表(「消費生活用製品のリコールハンドブック2019」から改訂)されました※1
 経済産業省は、事業者のリコールの進捗向上に関する課題・悩みに対して参考となる考え方や情報を示すべく、2021年度の事業※2において、主に回収率の高いリコール案件を中心に取組実態の調査を行い、その結果を踏まえ、本改訂を実施したとしています。
 本コラムでは、本改訂で追加された情報のうち、リコール周知方法として多くの事業者での採用が考えられる※3自社ホームページ(以下、自社HP)でのリコール情報掲載に関してご紹介します※4

 

 リコールハンドブックでは、リコール対象製品の購入者(使用者・保有者)情報が不明な場合、事業者は不特定多数に向けた情報発信を考えること※5になるため、その手段の一つとして自社HPでのリコール情報の掲載があるとしています(p.60~65)※6
 本改訂では自社HPでのリコール情報の掲載に関する「1.誘導手段」、「2.掲載内容」、「3.効果測定」についての情報が追加されています。

1.誘導手段
自社HPへの誘導にはデジタル広報の基本的なノウハウに基づくことが有効としています。
・SEO対策を講じ、検索エンジンで、自社HPを検索結果の上位に表示させやすくする(p.65、p.119)。
・ランディングページを活用して、社告ホームページ(リコール情報の掲載されているページ)に誘導する(p.119)。
など。
他にも、QRコードを自社HPの入り口として活用する手段(p.118)も紹介されています。

2.掲載内容
消費者がリコール製品を識別、意識しやすくするための手段が紹介されています。
・画像を掲載することで、リコール対象製品の識別が容易になる(p.65)。
・情報掲載順序を工夫する(例えば重要情報を先に伝える)ことで、消費者が意識しやすくする(p.65)。
など。

3.効果測定
自社HPのアクセスログを解析し、各媒体(インターネット情報サイト、QRコード等)での自社HPへの誘導の効果を測定・確認することで、資源配分の効率化等の検討を進めることができるとしています(p.81)。

 他にも、本改訂では、「製造物責任とリコール」の関係性(p.13)や、「生産物回収費用保険によるリコール原資の確保」等の解説(p.27、28)も追加されています。いざという時に備え、この機会にご覧いただくことをおすすめいたします。

 

※1:次のURLで公表されています。
https://www.meti.go.jp/product_safety/recall/recall_handbook2022.pdf

※2:「令和3 年産業保安等技術基準策定研究開発等(リコール等製品安全広報効果実態調査事業)」
同事業の調査結果「リコール進捗率向上に向けた事業者の実態と取組事例の紹介」に関しては弊社コラムでも紹介しています。
https://www.tokio-dr.jp/publication/column/062.html

※3:経済産業省「リコール進捗率向上に向けた事業者の実態と取組事例の紹介」によると、調査対象事業者の96%が自社HPでのリコールの周知を実施していたとしています。

※4:本コラムでは、リコールハンドブックの内容を引用、またはリコールハンドブックの内容をもとに弊社にて内容を要約して掲載しています。

※5:対して、リコール対象製品の購入者情報がわかる場合は個別周知手段(ダイレクトメール等)が考えられますが、現時点での使用者・保有者とは異なる可能性を鑑みた情報提供媒体を検討することが求められるとしています。

※6:本コラム中の(p.~~)はリコールハンドブックのp.~~に掲載されていることを示します。

 

執筆コンサルタントプロフィール

飯野 晶
製品安全・環境本部 主任研究員

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