「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました
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2024/5/1
経済産業省は、いわゆる製品安全4法1で技術基準の設定や不適合品の販売禁止を定めるなど、所管する法令を通じて製品安全の確保を進めています。今般、この製品安全4法の改正法案である「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました2(2024年3月)。本改正法案は国内の消費者が安全に製品を使用する環境を整備することを目的としており、次の2項目で構成されています。
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1. インターネット取引の拡大への対応(消安法、ガス事法、電安法、液石法)
近年のインターネット取引の拡大に伴い、日本国内の個人が輸入事業者等を介さずに、オンラインモール等を使用することで、直接海外事業者から製品を購入できるようになってきています。本改正法案は、このような海外事業者が、日本国内の消費者に直接製品を送付するようなケースを対象として、製品の安全性に関する国内の責任者(国内管理人)を明確にすることを目的としたもので、次の①~④からなります。
① 海外事業者の規制対象化(国内管理人の選任)
② 取引デジタルプラットフォーム提供者に対する出品削除要請等※の創設
※出品の削除要請等の措置を講ずる制度
③ 届出事項の公表制度※の創設
※届出事業者の氏名や特定製品の型式の区分、国内管理人の氏名等を公表する制度
④ 法令等違反行為者の公表制度の創設
2. 玩具等の子供用の製品の安全確保への対応(消安法)
海外製品も含め、玩具等の子供用の製品については、子供による安全な使用が適切に確保できていないといった課題が存在しています。
本改正法案は子供用の製品による事故を未然防止する環境整備を目的としたもので、次の①、②からなります。
① 子供用の製品に係る規制※の創設
※国が定める技術基準への適合や対象年齢・使用上の注意等の警告表示等を製造・輸入事業者に求め、これらの義務を履行している旨を示す表示のない子供用の製品を販売不可とする規則
② 子供用特定製品の中古品特例※
※日本国内の消費者に対する注意喚起や安全確保のための体制整備等を条件に、当該製品の販売を可能とする特例
なお、国内の玩具の安全性については、直近でも動きがありました。
「消費生活用製品安全法施行令の一部を改正する政令」(2023年)により、磁石製娯楽用品および吸水性合成樹脂製玩具が消安法の特定製品に指定されました3。この背景には、これらの製品の誤飲事故とそれに伴う開腹手術による摘出が複数件発生していることがあります。この政令により、技術基準に適合しない当該製品の販売は規制されることになりました。
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本改正法案は現在開会中である第213回通常国会に提出される予定とのことですので、今後はその動向に注目です。
1 消費生活用製品安全法(消安法)、ガス事業法(ガス事法)、電気用品安全法(電安法)、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)
2 経済産業省HP「「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました」(https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240301006/20240301006.html)
3 経済産業省HP「子供の安全のため玩具への新たな規制が導入されます」(https://www.meti.go.jp/press/2023/05/20230516002/20230516002.html)
執筆コンサルタントプロフィール
- 飯野 晶
- 製品安全・環境本部 主任研究員