2022年の改正航空法について:ドローンの利活用の促進に向けて

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2022/9/16

近年、ドローンの法整備に関する議論が活発化しています。これは2019年に政府が、2022年度を目処にドローンによる有人地帯での目視外飛行(以下レベル4飛行)を実現することを目標に掲げたことや、ドローンの利活用が進んでいる中でドローンの落下事故やドローンを無許可で飛行させている事案が発生しているためです。このような状況を受けて、「航空法等の一部を改正する法律(以下、改正航空法)」が成立し、2021年6月に公布されました。この改正航空法は2022年12月に施行を控えており、ドローンの機体・型式の認証制度、操縦者技能証明制度が新設されます。また2022年6月には機体の登録制度が施行され、100g以上の無人航空機の登録が義務となり国土交通省は無人航空機登録ポータルサイト(※1)を開設し無人航空機の所持者へ機体登録を促しています。

2022年8月3日には、内閣官房や各省庁が集まり、「第18回小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」が開催されました。本協議会の中では『空の産業革命に向けたロードマップ2022(案)』のほか、情報を追加した『レベル4飛行の実現に向けた新たな制度整備等』『ドローンの利活用促進に向けた技術開発について』『ドローンの利活用の促進・社会実装に向けた取組』が取りまとめられ、首相官邸が資料を公表しています(※2)。

図:空の産業革命に向けたロードマップ2022(案)(第18回小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会の資料より抜粋)

本協議会の資料の中では、ドローン物流の実証実験や防災等の分野での取組事例が紹介されています。また、2022年3月には国土交通省から「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン ver.3.0」が公表され、物流分野をはじめ様々な用途において、自治体や事業者のドローンを活用したビジネスモデルの検討が進められています。

2022年12月に控える改正航空法の施行により、ドローンを安全に使う環境が整備され、これまで以上に様々な用途にドローンが使用されていくことが想定されます。他方で場合によってはドローン利用中に機体の墜落や配送物の落下、他の飛行物体との接触、騒音など様々なリスクを有するものであることから、ドローンを使用するにあたってのリスクについて検討する必要があります。今後ガイドライン等でリスク評価やリスクマネジメントに関する方向性が示される可能性もあり、今後の法整備等の動きについて注視する必要があるでしょう。加えて自治体や事業者などの使用者は、用途や使用する環境・場所(飛行航路も含む)に応じてリスク評価を実施して適切な対策を講じることが求められます。

※1無人航空機登録ポータルサイト(https://www.mlit.go.jp/koku/drone/

※2首相官邸HP 小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会(第18回)

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kogatamujinki/kanminkyougi_dai18/gijisidai.html

執筆コンサルタントプロフィール

千田 遵
製品安全・環境本部 シニアコンサルタント

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