景品表示法における不当表示にステルスマーケティングが追加されました

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2023/12/15

 令和5年10月1日から、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法、以下「景表法」)にて規制される不当表示(誤認されるおそれのある表示)に、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難な表示」が指定されました¹。

 この表示は、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す、いわゆる「ステルスマーケティング」、「ステマ」と呼ばれる広告のことを指し、令和5年3月28日内閣府告示第19号では、「業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」と定義されています。

 以下の1,2の両方の要素を満たす場合、「ステルスマーケティング告示に違反した」と認められ、商品・サービスを共有する事業者に対して措置命令が行われます²。

1.事業者の表示であること
 事業者がその表示内容の決定に関与したと認められる場合、例えば、以下のような場合、「事業者の表示である」と判断されます。

例)
事業者が自ら行う表示
事業者が第三者になりすまして行う表示
事業者が明示的に依頼・指示をして第三者に表示させた場合
事業者が明示的に依頼・指示していない場合であっても、第三者に表示させた場合※

※無償で商品提供を受けSNS投稿等を依頼された第三者が、事業者の方針に沿った表示(投稿)内容を行うなどの、事業者が暗示的に依頼・指示したと推認される場合。実態を踏まえて総合的に判断されます。

2.一般消費者が事業者の表示であることをわからないこと
 一般消費者が受ける印象・認識を基準として、表示上の文章、図表、写真等から、その表示が事業者による広告・宣伝であることを一般消費者が認識できないと認められる場合、「一般消費者が事業者の表示であることをわからない」と判断されます。

 一方で、「広告」「PR」等の表示があり、一般消費者から見て分かりやすい表示になっているものや、一般消費者にとって事業者の表示であることが社会通念上明らかなものは、規制対象外です。
 規制の対象となるかどうかは、一般消費者が受ける印象・認識を基準としていることや、事業者の表示に該当するケースが幅広いことから、広告が不当表示に該当するかどうか、事業者自身での判断が難しい場合が考えられます。そのような場合には、外部の専門家の意見を取り付けることをおすすめいたします。

 

¹ 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」
²企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはなりません。

執筆コンサルタントプロフィール

木本 博之
製品安全・環境本部 エキスパートコンサルタント

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