コンプライアンス意識調査のすすめ

  • コンプライアンス

2019/6/3

 2019 年4 月、粉飾決算や業法違反等の不祥事が露呈し倒産した企業数(2018 年度)が帝国データバンクより発表されました。このデータ等を確認しながら、従業員のコンプライアンス意識の浸透・定着に有効と思われる取り組みについて考えてみましょう。

■コンプライアンス違反による倒産企業は年200 社を超える(帝国データバンク最新調査)
 帝国データバンクより公表された最新のコンプライアンス違反企業の倒産動向調査(※1)によると、7 年間連続して200 社を超える企業がコンプライアンス違反(意図的な法令違反や社会規範・倫理に反する行為)に関連して倒産しているとされています。主なコンプライアンス違反の倒産件数の推移を以下に示します(同社の調査をもとに弊社作成)。


■自社におけるコンプライアンスに関するモニタリングの重要性
 コンプライアンス規定文書および体制に関しては、各社のウェブサイトや統合報告書等で公表されているように、一定程度の対応をとられている企業も多いと思います。実際に、全国のビジネスパーソンを対象に行ったインターネット調査で、回答者の約9 割が自社のコンプライアンス規定を認知しており、従業員数5,000 人を超える企業においては、約9 割で相談・通報制度が整備済みという調査結果があります(※2)。
 文書・体制整備が一定程度進んでいるにも関わらず、コンプライアンス問題が不祥事として露呈し倒産する企業の数が減らない要因の一つとして、文書・体制などが有効に運用されていない、機能していないといった実態が考えられます。文書・体制を整備するだけでなく、定期的に実態把握・モニタリングを行い、状況に応じた対策を実施するまでのPDCA サイクルをまわしていくことで、従業員のコンプライアンス意識の浸透・定着を図っていくことが重要と考えます。

■コンプライアンス意識の従業員調査のすすめ
 コンプライアンスに関するモニタリングの方法としては、日常業務での点検や内部監査等のほか、従業員意識調査があります。この調査は、企業倫理に対する従業員の意識を純粋に確認する有効な手段であり、また副次的な効果として、アンケートに回答する行為そのものが、従業員のコンプライアンス意識向上のきっかけになることも期待できます。
 自社の事業内容や従業員構成等を考慮した従業員意識調査を通して、さらなるコンプライアンス体制の強化を図ってみてはいかがでしょうか。


(出典)
※1 株式会社帝国データバンク「コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2018 年度)」(2019年4 月8 日)
※2 株式会社日経リサーチ「調査結果から紐解くコンプライアンス意識と組織の今」(2016 年5月25 日)

執筆コンサルタントプロフィール

山下 幸樹
製品安全・環境本部 製品安全第二ユニット エキスパートコンサルタント

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