運輸防災マネジメントへの取り組み支援のご紹介 ~その2:運輸防災マネジメント構築支援メニューの紹介

  • 交通リスク
  • 自然災害

コラム

2026/5/27

※本コラムは、「運輸防災マネジメントへの取り組み支援のご紹介 ~その1:運輸事業者に迫る自然災害リスク~」の続編です。

 前編では、水害を中心に運輸事業者の被害実態と、災害時に求められる社会インフラとしての役割についてご紹介しました。また、多くの運輸事業者が、「優先的に対策すべきリスクが何か、どんな対策を取ればよいか分からない」、「何から始めるべきか判断できない」、等の課題を抱えていることにも触れました。
 本コラムでは、上記のような運輸事業者の課題を解決するために、東京海上ディーアール株式会社(以下、TdR)が提供可能なソリューションをご紹介します。

1. 運輸事業者に求められる運輸防災マネジメントのアクション

 国土交通省「運輸防災マネジメント指針」(令和56月改訂)1,2には、「頻発化・激甚化している自然災害も輸送の安全を脅かす要因として捉え、防災・減災に向けた取組についても継続的改善(PDCAサイクル)に繋げることが重要である」と記載されています。

1. 運輸防災マネジメントの位置づけ(弊社作成)

 しかし、PDCAサイクルを自社単独で構築・運用するには、ハザード情報の収集・解析、被害想定、体制設計、文書化、訓練設計、デジタル基盤整備等、多岐にわたる専門性が必要となるため、「何から手を付ければよいか分からない」という企業が多いのが実情です。

2. 運輸防災マネジメントの取組支援メニュー

 TdRでは、運輸防災マネジメントの体制構築から運用までを支援可能な6つのメニューを用意しています。お客様の取組状況や課題に応じてご提供可能です。

1. 運輸防災マネジメント体制構築支援パッケージメニュー(弊社作成)

       
 メニュー 主な目的 PDCA

災害リスクスクリーニング評価

全拠点のハザードを俯瞰し、優先災害を特定

P

災害被害想定評価

拠点ごとの財物損害を定量化し、対策投資の優先順位を判断

P

運輸防災マネジメント取組状況評価

指針に沿って取り組み状況を評価して可視化し、ギャップを特定

C

運輸防災マネジメント体制・文書作成支援

災害対策体制と関連規程・マニュアルを整備

P・D

災害対応訓練

体制・文書の実効性を検証し、対応力を高める

D・C

運輸防災マネジメントの運用・効率化(Chainable)

平時・災害時の情報共有と関係者間連絡を効率化

D・CA

 以下、「どのような課題・フェーズの企業に適しているか」をメニューごとに解説します。

①    災害リスクスクリーニング評価 ― 「全国の拠点、どこが最もリスクが高いのか分からない」
こんな課題をお持ちの企業に
●    全国に多数の営業所・車庫を保有しているが、各拠点の災害リスクを統一的に把握できていない
●    拠点ごとにバラバラに防災対策を進めており、全社的な優先順位付けができていない
ご提供内容
 拠点の所在地情報をもとに、TdRが保有する各種ハザードデータベースを用いて、国内の主要な11災害a について全拠点を同一基準でグレーディング評価します。アウトプットは拠点×災害種別のマトリクスで、全社最適での優先順位付けが可能になります。
期待効果
 拠点の自然災害ハザードを相対的に把握することで、貴社の事業に大きな影響を及ぼす可能性がある自然災害を把握し、対策の優先付けに役立てることができます。

2. 災害ハザードスクリーニング評価の概要(弊社作成)

②    災害被害想定評価 ― 「具体的にどの程度の事業影響が生じうるのか、対策の費用対効果を判断したい」
こんな課題をお持ちの企業に
●    各拠点の災害ハザードの多寡は把握したが、実際にどれほどの損害になるのか定量的な見立てができない
●    営業所単位で対策投資を稟議に上げる際の根拠資料がない
●    浸水時の時間的変化(車両避難の猶予時間等)が分からず、初動計画が立てられない
ご提供内容
 事業への影響を、経済的損失や事業中断期間等を指標として定量的に分析します。公的機関の想定浸水深を入力情報とし、建物構造・車両や台数等の資産配置、対策実施状況を踏まえた脆弱性評価を行い、拠点ごとの事業影響を評価します。オプションで現地調査や浸水の時間的変化を踏まえたシミュレーションも可能で、「発災から○時間以内に車両を退避させる必要がある」といったタイムライン策定の根拠としても活用いただけます。
期待効果
 定量的な分析により優先リスクを明確化でき、災害対策投資の判断根拠としてもご活用いただけます。

3. 災害被害想定評価の概要(弊社作成)

③    運輸防災マネジメント取組状況評価 ― 「指針に対して自社がどこまで対応できているか分からない」
こんな課題をお持ちの企業に
●    運輸防災マネジメント指針に沿った対応はしているつもりだが、抜け漏れがあるか確認できていない
●    既存の取り組みの「有効性」(形だけになっていないか)を客観的に評価したい
●    改善ポイントを優先順位付きで整理し、次年度の安全重点施策に反映したい
ご提供内容
 TdR独自の自己診断チェックリストと災害対策統括部署等へのヒアリングを通じ、「取り組みの有無(適合性)」と「実効性(有効性)」を両軸で評価し、改善ポイントと取り組み方針を評価報告書としてまとめます。次年度の安全重点施策の策定資料として直接活用可能です。
期待効果
 指針との適合性ギャップが可視化され、改善優先度の高い領域が明確になります。

4. 運輸防災マネジメント取組状況評価の概要(弊社作成)

④    運輸防災マネジメント体制・文書作成支援 ― 「文書はあるが今日的な見直しができていない、機能するか不安」
こんな課題をお持ちの企業に
●    災害対策本部の体制はあるが、役割分担や指揮命令系統が不明確
●    安全管理規程・運行管理規程・整備管理規程に防災の観点が十分に組み込まれていない
●    災害対応マニュアルが古い、または網羅性に不安がある(対象が地震のみで風水災が含まれていない)
●    全社展開のための文書化が追いついていない
ご提供内容
 災害対策本部・防災対策本部の体制設計を支援し、各関係部署の役割を明確化します。文書面では、安全管理規程・運行管理規程・整備管理規程を防災の観点で見直し、災害対応マニュアル(危機管理の基本/体制/平常時/緊急時/事後対応、等)の作成・改訂を支援します。
期待効果
 体制と文書が連動し、災害発生時に「誰が、何を、どう判断するか」が組織全体で共有されます。

5. 運輸防災マネジメント体制・文書支援の概要(弊社作成)

⑤    災害対応訓練 ― 「マニュアルは作ったが、実際に動けるか検証できていない」
こんな課題をお持ちの企業に
●    災害対策本部メンバーや拠点管理者の対応力を高めたい
●    マニュアルの実効性を、実際の判断シーンを通じて検証したい
●    単なる読み合わせではなく、考え、判断する訓練を実施したい
ご提供内容
 災害を想定した机上訓練を設計・実施します。課題は発災時の初動対応(安全確保・避難・安否確認)、対策本部の初動対応(本部設置・情報収集)、事業継続(重要業務選定・関係者連携)等貴社の状況に応じて設計可能です。時系列に沿ったリアルタイム型訓練も可能です。
期待効果
 被害想定の体感的な理解、マニュアルの実効性検証、対応力向上、そして体制・文書の改善ポイント発見という副次的効果も得られます。

6. 災害対応訓練の概要(弊社作成)

⑥    運輸防災マネジメントの運用・効率化(Chainable)
 こんな課題をお持ちの企業に
●    災害時、本社と各拠点・荷主・関係者間の連絡が電話・メールで錯綜し、状況把握が遅れる
●    拠点ごとの被害状況、対策実施状況を一元的に可視化したい
●    平時の点検・業務報告にも使える、災害時専用ではない常用ツールが欲しい
ご提供内容
 Chainableは、災害情報や拠点情報を可視化して関係者間のコミュニケーションを効率化するクラウドサービスです。地図上で災害情報を拠点と重ねて確認できるため、影響範囲にある拠点を即座に特定できます。また、本社⇔拠点/取引先間での指示や報告等の双方向コミュニケーションが可能で、有事の迅速かつ効率的な対応を支援します。
期待効果
 平時から運用することで災害時にもスムーズに使え、リスク関連情報の一元管理基盤として機能します。

7. 運輸防災マネジメントの運用・効率化(Chainable)の概要(弊社作成)

3. 取り組みフェーズ別のおすすめの組み合わせ

 6つのメニューは独立してご提供可能ですが、貴社の現状フェーズに応じて以下のような組み合わせが効果的です。
 ●    現状把握から始めたい
  → ① 災害リスクスクリーニング評価 + ③ 取組状況評価
  全拠点のハザードと、現状の取り組みレベルを同時に可視化し、全社の出発点を整理します。 
 ●    対策の優先順位と投資判断をしたい
  → ② 災害被害想定評価 + ④ 体制・文書支援
  損害額の定量化を踏まえ、体制・文書を整備します。経営層への説明資料にも直結します。
 ●    整備した体制・文書の実効性を高めたい
  → ⑤ 訓練 + ⑥ Chainable
  訓練で体制・文書の有効性を検証し、デジタル基盤で日常運用に組み込みます。

4. おわりに

 運輸防災マネジメントは、一度仕組みを作って終わりではなく、PDCAサイクルを回し続けることで実効性が高まっていく取り組みです。気候変動による風水害の激甚化や、南海トラフ巨大地震・首都直下地震の切迫性が指摘される今、「自社単独で進めるのは大変」と感じられる場面も多いのではないでしょうか。本コラムで紹介した6つのメニューは、各社の取組状況や課題等に応じてカスタマイズも可能ですので、お気軽にご照会ください。

関連サービスページ

1.    国土交通省「運輸防災マネジメント指針-自然災害への対応に関する運輸安全マネジメント-」(https://www.mlit.go.jp/unyuanzen/content/001625852.pdf)(確認:2026/5/21 17:00)
2.    国土交通省「運輸防災マネジメント指針の解説」(https://www.mlit.go.jp/unyuanzen/content/001625854.pdf)(確認:2026/5/21 17:00)

a 地震動、液状化、津波、火山噴火、強風、河川氾濫、高潮、土砂災害、積雪、雹災、落雷

執筆コンサルタントプロフィール

企業財産本部 上級主任研究員 佐竹 祐哉、運輸モビリティ本部 主任研究員 辻 滉樹

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