AIは人間の仕事を奪うのか? ~過去の産業革命からの洞察によるAIリスキリングのすゝめ~
2025/12/12
目次
- 「AIは仕事を奪うのか?」という問いと、AIリテラシーの重要性が高まる現代
- 過去の産業革命に見る雇用の変化
- 歴史が繰り返すパターンを4つのステージで読み解く
- AI時代の再教育(リスキリング)とAIリテラシーの確立 ──社員と経営者が身につけるべき「AIを使いこなす力」
- まとめ:AI時代における歴史の教訓と企業の責任
AIは人間の仕事を奪うのか? ~過去の産業革命からの洞察によるAIリスキリングのすゝめ~ - Tokio-dR EYEPDF
執筆コンサルタント
大野 有生
チーフデジタルオフィサー
専門分野:AIガバナンス
経歴:大手IT企業、外資系金融企業にて、AI・DXのシステム開発と新規事業立上げに関わる。現職では、DX・AIのリスクコンサルティングを管掌し、生成AIを巡る地政学や技術リスク管理の研究・講義活動に従事。ケンブリッジ大学経営大学院MBA。
1.「AIは仕事を奪うのか?」という問いと、AIリテラシーの重要性が高まる現代
2025年秋、それぞれ全米1位、2位の従業員数を誇るWalmart社とAmazon社をめぐる2つのニュースが大きな波紋を呼ぶこととなった。9月26日、Walmartは、「今後3年間の雇用を凍結」しながらも「AIにより収益成長を見込む」計画を発表[1]。10月21日、Amazonの「倉庫業務へのロボット全面導入で約60万人の雇用を削減する計画」を示唆する社内文書が流出[2]し、同社はこれを否定したものの、10月29日には、ホワイトカラー層を中心に約1万4,000人のレイオフ(解雇)を実施した[3]。急速に進歩するAI(人工知能)は従来人間が担ってきた仕事を次々と置き換え始めており、「AIは人間の仕事を奪うのではないか?」という問いが現実味を帯びた形で社会に突きつけられている。
本稿の目的は、この問いに対する答えを歴史の中に探ることである。過去の産業革命期(第一次~第三次)において技術革新が人々の仕事に与えた影響を振り返り、歴史上繰り返される4つのパターンを抽出する。更に、そこから得られる洞察をもとに、AI時代における人材戦略である社員向けの再教育(ボトムアップ)と経営者向けの再教育(トップダウン)の方向性を示唆する。
2. 過去の産業革命に見る雇用の変化
「新たな技術が職を奪う」という懸念は、歴史上幾度となく繰り返されてきた。例えば19世紀初頭、イギリスの繊維産業労働者たちは機械化によって職を脅かされ、工場の機械を破壊して回るラッダイト運動1を起こした。しかし、その後の展開を振り返ると、技術革新によって一時的に特定の職業が消滅しても、生産性向上が人々の所得を押し上げ新たな需要を生み出し、新産業の誕生とともに新規雇用が創出されてきた (図表 1)。
| 産業革命 | 時期 | 技術革新 | 消えた職種 | 生まれた職種 |
| 第一次産業革命 | 18~19 世紀前半 | 蒸気機関、織機 | 織物職人、手工業者 | ボイラー職人、製鉄工、機械整備工、工場労働者、 監督者 |
| 第二次産業革命 | 19 世紀後半~ 20 世紀初頭 |
電力、内燃機関 | 蒸気機関技師 | 電気技師、エンジニア、自動車整備工、経理、人事、販売、管理者層(ホワイトカラー) |
| 第三次産業革命 | 20 世紀後半 | コンピュータ、インターネット | タイピスト、電話交換手、手作業の経理係 | プログラマー、IT エンジニア、Web デザイナー、コンテンツクリエイター、e コマース事業者 |
第一次産業革命(18~19世紀前半)
蒸気機関の発明や織機の導入により、織物職人など多くの手工業者が仕事を失ったのは事実である。一方で、機械化によって一時的に職を失った人々も、ボイラー職人、製鉄工、機械整備工など新しい専門技能を習得し、工場労働者として働く者が現れた。また、機械を操作・保守する作業や、工場を運営するための監督者といった新しい役割も生まれた。こうして、農村から都市への人口流入とともにブルーカラーの誕生という社会変化も生じた2。
第二次産業革命(19世紀後半~20世紀初頭)
電力の活用や内燃機関の発達によって、生産現場の更なる自動化・大量生産が進んだ。電力への移行当初は蒸気機関技師など古い技能の職人が一時的に余剰となったが、蒸気技師が電気技師にスキル転換することで雇用を維持できた例が多く見られたことも事実である[5]。他にも、流れ作業による大量生産ラインが確立したことで、エンジニアや自動車整備工といった新たな技術職・専門職が生まれた。更に、企業規模の拡大により、経理・人事・販売といった事務系職種や管理者といったホワイトカラーが事業活動における重要な役割を担うようになった。この時代、産業高度化に対応するため、各国で近代的な教育制度の整備が進んだ[6]。
第三次産業革命(20世紀後半のIT革命):
コンピュータとインターネットの普及は、「ホワイトカラーの頭脳労働まで機械に奪われるのではないか」という新たな不安を生んだ。実際、タイプライターを打つタイピスト、電話交換手、手作業の経理係など多くの職種が縮小・消滅。しかしその一方で、プログラマー、ITエンジニア、Webデザイナー、コンテンツクリエイター、eコマース事業者といったまったく新しい職種が爆発的に増加し、労働市場の主役は製造業からサービス・情報産業へと移行し、新たな雇用をより多く創出した。米国では、パソコン(以下PC)とインターネットの普及で減少した雇用が約350万であったのに対し、新たに1,900万を超える雇用が創出され、差し引き約1,580万の純増になったと報告されている[7]。つまりIT革命期にも「技術によって消える仕事」より「技術によって生まれる仕事」の方が多く、、経済全体として見れば雇用は拡大し続けた。
3. 歴史が繰り返すパターンを4つのステージで読み解く
技術が社会の姿を変えるとき、人々の働き方にも必ず“ある順序”が現れる。蒸気、電力、コンピュータ。異なる時代の技術であっても、その変革の背後には驚くほどよく似た構造がある。それが、「技術による代替 → 移行期の混乱 → 新職種の誕生 → 総雇用の拡大」という4つのステージの循環である(図表 2)。

図表 2. 歴史的パターンからみる技術による代替と新産業の誕生(弊社作成)
第1ステージ:技術による代替
新しい技術が誕生すると、人が担ってきた繰り返し作業が、より効率的な仕組みに置き換わっていく。手で糸を紡ぎ、工具を操り、紙に数字を書き写していた工程は、工場の機械、電動モーター、コンピュータへと移っていった。
ここに共通するのは、「技術はまず、人間の反復的な作業から代替し始める」という点である。技術は速く、正確で、疲れない。その強みが社会の生産能力を一段押し上げ、仕事の内容そのものが静かに形を変えていく。
第2ステージ:移行期の混乱
新しい技術の登場は、必ずしもすぐに受け入れられるわけではない。とりわけ生活の糧に直結する変化ほど、人々の不安は先に立つ。
象徴的なのが、第一次産業革命で起きたラッダイト運動だ。織機の導入で自分たちの仕事が奪われると感じた職人たちが、工場や機械を破壊して抵抗した出来事である。これは単なる暴動ではなく、「技術が雇用を脅かす」という恐れの最初の大きな可視化だった。
同じ構造はその後も繰り返された。技能の価値が変わることへの戸惑い、新しいツールを扱えない人が取り残される焦り、旧来の仕事の意味が急速に揺らぐことへの拒否反応。技術進歩に対してスキルや制度が追いつかないと、社会には必ず歪みが生まれる。これが移行期における社会の不安定さである。
第3ステージ: 新職種の誕生
しかし、混乱が永遠に続くわけではない。新技術に対するリテラシー(使いこなすための素養)が労働者に根づき始めると、新しい仕事が次々と出現する。
機械を扱い、維持し、改良する専門職。大規模化した工場や企業を運営する事務・管理の役割。そして、デジタル時代に求められるエンジニアやプログラマーのように、かつて存在しなかった新職種も広がっていく3。
第4ステージ: 総雇用の拡大
時間が経つと、社会は技術を前提とした新しい経済圏へと発展する。生産性が上がれば製品は安くなり、需要が拡大し、それを支えるための労働力が更に必要となる。大量生産が進めば関連産業が派生し、雇用は広がっていく。
例えば第三次産業革命では、デジタル化によって事務作業は自動化された一方で、IT産業やオンラインサービス産業が急成長し、失われた職よりはるかに多い雇用が創出された。
つまり、歴史を振り返ると、「技術は短期的に仕事を壊し、長期的に仕事を増やす」という構造が一貫して現れている。個人レベルで考えても、第一次産業革命で職人が工場労働者へ転身したように、労働力の配置転換によって経済は新たな均衡を見出してきた。これらの4ステージを現代に当てはめると、AI時代の“混乱期”を乗り越える鍵は、AIリテラシー(AIを使いこなす素養)と、それを支える再教育(リスキリング)の取り組みであることが明らかになる。
4. AI時代の再教育(リスキリング)とAIリテラシーの確立
──社員と経営者が身につけるべき「AIを使いこなす力」
4.1 なぜリスキリングが周辺施策でなく、事業戦略そのものなのか
前章を踏まえれば、AI時代も基本的な構図は同じであると予想される。すなわち、AI革命(第4次産業革命)は、歴史の「(1)代替 → (2)混乱 → (3)新職 → (4)雇用拡大」という構造を踏襲するであろう。実際に、世界経済フォーラムの推計では2030年までに1.7億の新規雇用が生まれ、9200万が消えるが、差し引き7800万の純増とされ[8]、長期的には第三次産業革命と同様に雇用は増える可能性が高い。
しかし、その質が大きく異なる点に注意しなくてはならない。AIの普及は、単なる業務効率化の話ではない。昨今の生成AIは事務や定型作業だけでなく、文章作成・分析・コード生成など「知的労働の中核」を直接置き換える点で本質的に新しい。つまり「仕事そのものは消えない」が、「必要なスキル」と「仕事の中身」が大きく入れ替わる。2025年に1,000社のグローバル企業に行った調査によると、全企業のうち約85%が、従業員の再教育を優先課題として挙げている[9] 。
これは、再教育が人事部のプロジェクトではなく、事業戦略・生存戦略そのものになったことを意味している。AI時代の再教育とは、単に新しいツールへの習熟ではなく、AIリテラシーを軸に据えた体系的なリスキリングのプロセスである。AIを扱える人材を“点”で育成するのではなく、組織全体がAIと協働できるように“面”として育てる必要がある。
この章では、社員の再教育(ボトムアップ)と経営者の再教育(トップダウン)の両面から企業がとるべき方策を考察する。
4.2 社員のリスキリング:AIリテラシーを全員が備え、“AIと協働する働き方”を標準化する
前提となるのは「AIリテラシーの底上げ」
第三次産業革命が、PCを扱えない人を職場から徐々に排除していったように、AI時代はAIを使えない人がボトルネックになる時代である。実際、PCやネットワークを使いこなせなかった層が職を失った事例は歴史的に確認されている。
同じことを繰り返さないために、まず必要なのは「一部の専門職だけがAIを使う」状態からの脱却である。最低限、全社員が図表 3に示す力を身に着けることを目標にすべきだろう。
| AI と協働するための力 | 説明 |
| 発見する力 | 自分の業務で、どのタスクが AI で代替・補完可能かを説明できる |
| 実行する力 | 日常的に、文章作成・要約・アイデア出し・簡易集計などを AI と組んで実行できる |
| 見定める力 | AI の出力をそのまま信じない前提で、検証・修正する癖を身につけている |
これは「高度なエンジニアにする」という話ではない。全員が“AIとの協働”に慣れることが、デジタル時代の読み書き・そろばんに相当する。
職種別に「AIと人の役割分担」をデザインする
次に重要なのは、「一律研修」で終わらせないことだ。AIの影響はホワイトカラーや専門職を含めて職種ごとに形が異なる。したがって、企業内では少なくとも職種別スキルマップを描く必要がある(図表 4)。
| 部門 | AIが担う業務 | 人間が担う業務 |
| 営業 | 顧客調査・提案書ドラフト作成・メール文面 | 関係構築・交渉・最終判断 |
| 経理・財務 | 記帳・照合作業 | 例外処理・シナリオ分析・経営への提言 |
| 人事 | 求人票作成・研修資料のドラフト | 組織開発・面談・評価の質 |
| 企画・開発 | 市場・技術情報のスクリーニング | 仮説構築・意思決定 |
ポイントは、「AIに何をやらせるか」ではなく、「人がどこに時間と認知資源を再配分するか」を職種ごとに明確にすることだ。この「AI×職種」マップに基づいて、必要なリスキリングの中身(データリテラシー、プロンプト設計、業務フローの再設計など)を設計していく。
学ばせるだけでなく、「業務に組み込む」設計にする
多くの企業で失敗するのは、AI研修を単発セミナーとして終わらせてしまう点である。AI時代の再教育は、本来次のようなサイクルで設計すべきだ。
| 段階 | 内容 |
| 基礎インプット | 全社向けの AI リテラシー研修(オンライン+集合) |
| 現場プロジェクト | 各部門で「AI 活用ミニ PoC」(例:レポート作成時間を 50%削減)を設定 |
| 振り返り | 効果・失敗要因・改善案を共有し、ベストプラクティスを横展開 |
| 制度化 | 成功した活用方法を業務標準(マニュアル・チェックリスト)に組み込む |
企業がオンライン講座や社内研修を通じてAIリテラシー向上を図っている事例は多くあるが、鍵は「学び」と「日々の仕事」を切り離さないことにある。
更に、評価・処遇と結びつけることも重要だ。再教育を「やる気のある人だけがやるオプション」に留めると、格差だけが広がる。学び続けることそれ自体を評価する仕組みであってこそ、再教育は「一部の意識高い人の趣味」ではなく、組織全体の標準行動になる。
4.3 経営者のリスキリング:AIリテラシーを備え、事業全体を再設計できる率先垂範型リーダーへ
AI時代の再教育で、実は最もギャップが大きいのは経営層である。企業の多くがAIや情報処理技術によって自社ビジネスが変革されると認識しつつ、その戦略的活用に課題を抱えている。
経営者の再教育は、先述した「発見する力」、「実行する力」、「見定める力」の3つの軸で考えると整理しやすい。
その1. 発見する力~「AI×自社事業」の具体的な絵を描けるようになる
まず必要なのは、AIを抽象論で語る段階から、自社のバリューチェーンに落とし込んで語れる段階へ移ることである4。すなわち、経営者にとって必要なのは、AIリテラシーを基盤に事業構造を再設計する思考力を鍛えることである。
そこで、経営者向け再教育では、(1) 他社の成功・失敗事例、(2) 自社の収益構造のどこにAIレバレッジを効かせるか、そして、(3) どの部分は新事業の創出か、どの部分は既存事業の変革かを、数字と事例で学ぶプログラムが有効だろう。
その2. 実行する力~経営者自身が「AIを使う人」になる
AI時代の現場は、単に「AIを導入せよ」と号令をかけるだけでは動かない。
実際に人がAIと協働するには、仕事の分解 → AIへの指示出し(プロンプト)→ 出力の評価・修正という、かなり具体的な作業が必要になる。
その意味で、経営者自身が日常の中でAIを使ってみることは、単なる“お試し”以上の意味を持つ。メールやスピーチのドラフトをAIに作らせてみたり、決算説明資料の骨子案をAIと一緒に作ったり、新規事業の競合調査・仮説出しをAIに手伝わせる体験を通じて初めて、「AIは何が得意で、何が苦手か」「人がどこに判断や価値を出すべきか」が腹落ちする。他人事ではなく自分の仕事として経験することが、経営者の再教育の核心である。
その3. 見定める力~ガバナンス・リスク・倫理を理解したうえで「止める/進める」を判断する
AI導入には、データ保護・著作権・バイアス・説明責任など、多層的なリスクが絡む。AIがもたらすインパクトの大きさゆえに、慎重なガバナンスが必要であることは世界各国で強調されている。
- どのようなリスクが存在しうるのか
- それは技術的対策で緩和できるのか、制度・プロセスで担保すべきなのか
- どこまでを許容範囲とし、どこからをレッドラインとするのか
経営者自身が、このような問いを判断できるレベルまで学ぶ必要がある。ここで重要なのは、「リスクがあるからやらない」か「リスクを無視してでもやるか」という二択ではなく、許容可能なリスクを前提に、どう設計すれば“責任ある活用”になるかを考えられるかどうかである。
「学ぶ組織」をつくるのは経営者の仕事
AI時代のリスキリングを単発プロジェクトで終わらせるかどうかは、経営トップのメッセージに大きく左右される。経営者が学び続け、失敗を繰り返しながらも前に進もうとする姿勢そのものが、組織に「学びの安全性」を与える。AI時代に強い企業は、トップが「学び直し」を率先し、それを組織の文化に変えていく企業である。これらは、制度設計だけでは実現できない。経営者自身が「学び続ける人」であるかどうかが、そのまま組織文化に反映される。
5. まとめ:AI時代における歴史の教訓と企業の責任
本稿では、「AIが人間の仕事を奪うのか?」という問いに対し、第一次〜第三次産業革命を振り返り、技術革新が「代替 → 混乱 → 新職の誕生 → 雇用拡大」という循環を繰り返してきたことを確認した。短期的には既存職が揺らぐ一方、長期的にはより多様で高度な仕事が生まれ、雇用は拡大してきた。この歴史的パターンは、知的労働の中核に影響するAI時代においても大きな示唆を与える。
AIの進展は過去の革命とは質が異なるものの、根本構造には連続性がある。本稿で最も重要な提言である第4章では、この変化に企業がどう向き合うべきかを「再教育」という一点に収斂させた。AI時代の再教育は企業の選択的施策ではなく、生存戦略の中核に位置づけられるべきものである。社員にとっては、AIを扱う力がPCリテラシー以上の“前提スキル”となり、業務はAIとの協働を前提とした再設計が必要になる。経営者にとっては、AIが自社の価値創造プロセスをどのように変えるのかを理解し、AI導入のリスクと倫理を踏まえた判断を下しながら、事業全体を再設計する能力が求められる。つまり、企業の未来を左右するのは、技術そのものではなく、企業がどれだけ真剣に“人を学び直させられるか”である。
最後に、再教育は企業内部の生産性向上策にとどまらず、社会的責任でもある点を強調したい。過去の産業革命では、学び直しの機会を得られなかった人々が長期的に不利益を被った。AI時代に同じことを繰り返さないためには、企業が積極的に再教育に投資し、社員が新技術の恩恵を受けながら働き続けられる環境を整える必要がある。歴史が示す通り、変化に適応し続けた者だけが次の時代を担う。AI時代もまた、学び続ける企業こそが社会の発展を牽引する存在となるだろう。
参考情報
執筆コンサルタント
大野 有生
チーフデジタルオフィサー
専門分野:AIガバナンス
経歴:大手IT企業、外資系金融企業にて、AI・DXのシステム開発と新規事業立上げに関わる。現職では、DX・AIのリスクコンサルティングを管掌し、生成AIを巡る地政学や技術リスク管理の研究・講義活動に従事。ケンブリッジ大学経営大学院MBA。
脚注
| 1 | ラッダイト運動は1811–1816年のイギリス中部を中心に発生した抗議運動で、主に織機導入による賃金低下への反発が背景にあったとされる。 |
| 2 | イギリスでは工場の長時間労働が問題化し、1830年代以降労働法整備の動きも始まるなど、技術革新に伴い社会制度の整備も進んだ。 |
| 3 | 新職種は、失われた作業の穴埋めではなく、新たな価値を社会に与える領域であったことも付け加えたい。だからこそ、技術によって奪われた作業の向こう側に、人間がより高度な判断や創造を発揮し、技術と人間が新しい形で共存することができる。 |
| 4 | 例として、食品メーカーであれば、消費者ニーズ分析・レシピ開発・需要予測・生産計画・マーケティングクリエイティブ生成といった一連の業務機能にAIを組み込み、バリューチェーン全体を変革することを考える力を養うことが求められる。 |
参考文献
| [1] | Wall Street Journal. (2025).Walmart CEO Issues Wake-Up Call: ‘AI Is Going to Change Literally Every Job’ |
| [2] | The New York Times. (2025).Amazon Plans to Replace More Than Half a Million Jobs With Robots |
| [3] | CNN. (2025).Amazon just cut 14,000 jobs, and it’s not done |
| [4] | World Economic Forum. (2020).A short history of jobs and automation |
| [5] | Accountancy South Africa. (2020).The Stages of Industrial Revolution and Its Impact on Jobs |
| [6] | Focacci, C., & Perez, C. (2022).The importance of education and training policies in supporting technological revolutions: A comparative and historical analysis of UK, US, Germany, and Sweden (1830–1970)”, Technology in Society, 70. |
| [7] | Lund, S., Cooper, R., & Gumbel, P. (2018).What can history teach us about technology and jobs? McKinsey & Company. |
| [8] | World Economic Forum. (2024).Why there will be plenty of jobs in the future — even with artificial intelligence. |
| [9] | World Economic Forum. (2025).The Future of Jobs Report 2025 |
