食品表示制度改正と表示事故から考える管理体制

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コラム

2026/11/6

2026年10月1日、栄養機能食品に関する食品表示基準が改正され、栄養成分の機能を示す文言や上下限値、摂取する上での注意事項などが見直されました[1]。対象商品を取り扱う事業者には、改正による影響を確認し、必要に応じて商品設計や表示を見直すことが求められます。

食品表示制度の改正は、今回に限られません。直近10年間には、原料原産地表示、遺伝子組換え表示、添加物表示、アレルゲン表示など、幅広い領域で見直しが行われてきました(表1参照)。2026年4月1日には、カシューナッツが義務表示の対象である特定原材料に追加されました[1]。

表1 直近10年間における食品表示制度の主な改正[1]
年 主な改正
2017年 加工食品の原料原産地表示を拡大
2019年 遺伝子組換え食品の任意表示制度を改正
2020年 指定成分等含有食品、精米年月旬、添加物表示を改正
2023年 くるみを義務表示対象に追加
2024年 機能性表示食品制度を改正
2025年 添加物、栄養成分、個別品目別表示ルールを改正
2026年 カシューナッツの義務表示化、栄養機能食品制度の改正

注:食品表示基準の公布年を基準に、表示実務への影響が比較的大きい改正を抜粋

消費者に正しい情報を伝えるためには、食品表示の内容が正確であるだけでなく、その表示が対象の商品に適切に使用されなければなりません。食品表示の管理において、制度改正時と、日常運用時では重視すべきポイントがそれぞれ異なります。
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● 制度改正時に求められる管理

制度改正時には、改正内容を商品情報や表示へ正確に反映する必要があります。改正の影響を受ける商品を特定し、原材料規格書、商品規格書、表示原稿、包装資材などを更新します。委託製造品では、原材料供給者や製造委託先との情報共有も欠かせません。重要なのは、改正情報の把握から影響評価、対象商品の特定、関係部門・委託先への展開、表示や資材の切替え、対応完了の確認まで、必要な対応を漏れなく進める仕組みです。そのためには、各対応事項における関係者の役割と確認事項を明確にし、進捗や対応結果を確認できるような対応体制を整備しておく必要があります。また、直近10年でも改正が繰り返されていることから、今後も改正が行われることが想定され、関連事業者は制度改正の状況を注視する必要があります。

表2 制度改正時の対応事項と対応が不十分な場合に想定される影響の例
対応事項 想定される影響の例
対象商品の特定 改正対象商品の抽出漏れによる販売停止、未対応商品の自主回収
関係部門・委託先への展開 関係部門・委託先への情報伝達の遅延による対応の遅れや販売停止期間の長期化
規格書・表示原稿の更新および販売先への周知 改正前の情報に基づく表示で商品が出荷されることによる、販売停止、自主回収、返品、原因調査への対応、販売先からの信頼低下
包装資材の切替え 新旧資材の混在による旧版資材の誤使用、対象商品の販売停止・自主回収および旧版資材の在庫の大量廃棄

出典:当社作成

● 日常運用時に求められる管理

日常運用時には、基準を満たした表示を対象の商品に正確に使用するための管理が必要です。表示原稿が正しくても、別商品のラベルを使用したり、期限表示等で誤った情報を入力したりすれば、表示事故につながります。

消費者庁によれば、2025年度における食品表示法に基づく自主回収届出1,745件のうち、アレルゲン表示の不備を回収理由とするものが56%を占めました。また、発生原因の41%がラベルの誤入力・入力漏れ、39%が貼り間違いであったと報告されています[2] 。これらの数字は、日常業務における表示管理の不備が、自主回収につながる実態を示しています。特にアレルゲン表示の不備は、消費者の健康に影響を及ぼす可能性が高まります。

図 2025年度 食品表示法に基づく自主回収の届出状況[2]

制度改正時と日常運用時では、表示管理上の留意点が異なります。制度改正時には、改正内容を商品情報や表示へ正確に反映することが求められます。その上で日常運用時には、承認された表示を正しい商品に確実に使用しなければなりません。

今回の制度改正を機に、食品表示の管理体制について、役割分担、情報共有、確認手順が適切に整備され、実際に機能しているかを振り返ってみてはいかがでしょうか。

脚注

[1] 消費者庁「これまでの食品表示基準の改正概要について」(2026年10月1日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_261001_04.pdf
[2] 消費者庁「食品表示法に基づく自主回収の届出状況(令和7年4月1日~令和8年3月末日)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_recall/assets/food_labeling_cms203_260514_01.pdf
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執筆コンサルタントプロフィール

鈴木 藍
ビジネスリスク本部 研究員

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