富士山大規模噴火に対し首都圏企業に求められる対応~内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」の策定を受けて

  • 事業継続 / BCP
  • 自然災害

リスクマネジメント最前線

2025/5/29

目次

  1. はじめに:ガイドライン策定経緯と関連動向
  2. 首都圏における広域降灰による被害想定
  3. ガイドライン等に示された広域降灰対策
  4. 噴火前から富士山周辺ではじまる避難行動とその首都圏への影響
  5. 首都圏企業に求められる対応に関する提案
  6. おわりに

富士山大規模噴火に対し首都圏企業に求められる対応~内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」の策定を受けて- リスクマネジメント最前線PDF

執筆コンサルタント

佐藤 太一
ビジネスリスク本部 ビジネスリスク第二ユニット 主任研究員
専門分野:防災・BCP

高田 悠輝
ビジネスリスク本部 ビジネスリスク第二ユニット 主任研究員
専門分野:防災・BCP

概要

2025年3月28日、内閣府が「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」(以下、単に「ガイドライン」と表記する。)を公表した。このガイドラインは、富士山の大規模噴火で降灰することが想定される首都圏等の対策を主に取りまとめたものである。

富士山が1707年の宝永噴火同様の大規模噴火を起こせば、首都圏にも大量の火山灰が降り積もり、電気や自動車等により維持されていた都市機能が大幅に低下する恐れがある。この被害想定に対し、ガイドラインでは、「緊急的・直接的な命の危険性は低い、という降灰の特徴」「首都圏の人口が非常に多い」「予測の不確実性から、噴火前から社会活動を著しく制限することは現実的ではない」ことから、住民は「できる限り降灰域内に留まって自宅等で生活を継続することを基本とすることが現実的」とした[1]

そこで本稿では、降灰による被害想定とガイドラインに定められた首都圏における避難行動等の概要を紹介し、加えて、噴火前から富士山周辺ではじまる避難行動とその首都圏への影響についても検討の上、首都圏に立地する企業に求められる対応について提案する。

1. はじめに:ガイドライン策定経緯と関連動向

はじめに、ガイドラインの策定にあたり行われた主な検討会と関連動向について整理しておく。内閣府では、2018年から2020年にかけて「大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ」が開催され、富士山噴火による広域降灰について新たなシミュレーションが示されるとともに降灰の影響と対策について整理が行われた。その後、2024年から2025年にかけて開催された「首都圏における広域降灰対策検討会」での検討により、在宅避難を基本としつつ4つのステージに分けて対策の考え方等を整理する等の方針が示され、当該検討会の報告書をもとに内閣府が2025年3月28日にガイドラインを公表した。本稿ではこのガイドラインの内容を中心に整理・検討を行うものとする。なお、ガイドラインのほかに、次に挙げる検討会等の資料も参考にすることを推奨する。

●広域降灰対策に資する降灰予測情報に関する検討会:「広域に降り積もる火山灰対策に資する火山灰予測情報のあり方(報告書)」
広域降灰に対応した防災情報の整備が必要なことから、気象庁において2025年に本検討会が開催され、2025年4月25日に「広域に降り積もる火山灰対策に資する火山灰予測情報のあり方(報告書)」(以下、「気象庁報告書」と表記する。)が公表された。

●東京都防災会議:「地域防災計画火山編」
東京都においても、2023年に「富士山噴火降灰対策検討会」を開催し、2023年12月に「大規模噴火降灰対応指針」を公表するとともに、2025年4月現在、「地域防災計画火山編」の修正を進めており、今後、自治体や関係機関における対策の方針が示される見込みである。

2. 首都圏における広域降灰による被害想定

(1)  降灰厚[2]:都心で火山灰が10cm積もる

まず、首都圏における降灰厚について確認する。宝永噴火の際は噴煙が東方向に流されており、火山灰の多くは東京湾に降ったと考えられている。

もし風向きがずれ、火山灰がやや北寄りに流されると、より多くの火山灰が都心部に降り積もる恐れがある。これを踏まえて、西南西風のときの降灰分布がシミュレーションされ、下図のとおり、新宿区付近において火山灰が10cm程度積もる可能性があると示されている。

図表1 降灰分布の想定
出典:首都圏における広域降灰対策検討会(第1回)
「資料2 広域降灰対策のこれまでの検討経緯と今後の検討の進め方について」p.3
https://www.bousai.go.jp/kazan/shutokenkouhai/kentokai1kai.html

なお、噴火規模・風向き等により、火山灰噴出量と降灰分布は大きく変わるため[3]、BCPの検討においては、シミュレーション結果そのままの降灰分布になると想定しないことを推奨する。企業としては、例えば、新宿に限らず都心部の事業所でも10cm程度火山灰が積もると想定することも一案である。

(2)  被害想定:4つのステージ区分

首都圏において前項に示したような降灰厚になったとき、どのような被害が生じるだろうか。宝永噴火が起きた江戸時代とは異なり、現代では電気や自動車等により都市機能を維持していることから、江戸時代より火山灰に対して脆弱になっていると言えるだろう。

詳細は次項で説明するが、ここではまずは全体像を整理する。ガイドラインでは、被害の様相と避難等の方針を4つのステージに区分して整理しており、全体的な方針としては、「できる限り降灰域内に留まって自宅等で生活を継続することを基本とすることが現実的と考えられている。」[4]としている点に着目したい。

ステージ1

降灰厚が微量〜3cmまでで、物資供給に支障はあるものの自宅等で生活を継続する段階である。自動車は走ることができるため、支障はあるものの物資供給を継続することができる。ただし鉄道や航空機等は運行を停止する。

ステージ2

降灰厚が3cm30cmで被害が比較的小さい段階である。この段階では、灰が積もったままの状態では自動車の走行が難しくなるが、灰の除去(除灰)を行うことで不便はあるものの比較的早期に主要輸送手段を確保できる。よって、基本的に自宅等で生活を継続するとしている。

ステージ3

降灰厚が3cm30cmで被害が比較的大きい段階である。この段階では、基本的に自宅等で生活を継続するものの、状況に応じ生活可能な地域へ移動するとしている。ステージ2との区切り方が曖昧なのは、インフラ・ライフラインへの被害の大きさは、単純に降灰厚で区切ることができないためとみられる。つまり、降灰厚が同じでも、道路の除灰や電気の復旧等が円滑に進む地域(ステージ2に相当。)もあれば難航する地域(ステージ3に相当。)もあるとみられることから、降灰厚で被害の大きさを分けられないものとみられる。

ステージ4

降灰厚が30cm以上の段階である(加えて、降灰後土石流が想定される範囲も含む。)。この段階では、噴火直後は自宅や堅牢な建物に退避し、その後、原則(他地域へ)避難する。降灰厚が30cm以上となり、降雨と重なると、火山灰の重みで木造家屋の倒壊が懸念されるためである。

図表2 ステージに応じた被害の様相と広域降灰対策の基本的な考え方
出典:内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」p.14
https://www.bousai.go.jp/kazan/shiryo/index.html

(3)  被害想定:インフラ・ライフラインへの火山灰の影響

火山灰がインフラ・ライフラインに及ぼす影響と、それをもたらす降灰厚の目安は、他の過去の火山災害における被害や実験等をもとに設定されている。ここでは、主な火山灰の影響について表にまとめるとともに、下表を読む際のポイントを3つ示す。

1つ目は、交通機関は火山灰に弱く、移動が困難になること。噴火発生から3時間後には「微量」の火山灰が首都圏に積もると想定されており[5]、鉄道は地上区間で運行できなくなる。また、1日後には東京23区でも3cm以上の降灰厚になるところがある[6]ため、雨も降れば自動車は走行不能に陥り、雨が降らずとも通常通り走行することはできない。

2つ目は、電気・下水道への被害が生じること。首都圏の下水道は雨水と汚水が同じ下水管を流れる合流式の地域が多い。雨や水を使った掃除により、下水道に火山灰が流れ込めば、下水管が詰まってしまい、汚水も含めて逆流する恐れがある。

3つ目は、空調設備の被害により、さまざまな産業基盤にも被害が生じうること。空調設備の停止は人間の暑さ・寒さへの影響にとどまらない。産業用の冷却機能が止まれば、例えばデータセンター等さまざまな産業基盤が停止する恐れもある。

図表3 主な火山灰の影響

インフラ・ライフライン 影響が生じうる 降灰厚(目安) 影響
鉄道 微量 地上区間の信号トラブル・踏切動作不良による運行停止
自動車 乾燥時10cm以上
降雨時3cm以上
2輪駆動車は左記降灰厚で通行不能
4輪駆動車は乾燥時降灰厚30cm以上、降雨時降灰厚10cm以上で通行不能
左記より降灰厚が小さくとも、視界不良等で通行速度低下・通行不能
航空 微量 航空機は火山灰がある空域を運航しない
電力(電線) 降雨時0.3cm以上 がいしの絶縁低下により、左記降灰厚で停電
降雨時降灰厚10cm以上で倒木による電線の断線が発生し停電
電力(発電所) 数cm以上 吸気フィルターの交換のため火力発電所の電力供給力低下
電力の供給力を十分確保できないことにより停電
上水道 (定性) 水質悪化により水道水が飲用に不適
下水道 (定性) 降雨や水を使った清掃により火山灰が流入して下水管が閉塞
通信 (定性) 噴火直後は電話利用者が増え輻輳(アクセス集中)
降雨時に通信局等のアンテナに火山灰が付き通信を阻害
空調設備の不具合による機器の動作異常
空調(生活用) 5cm以上 空調設備の室外機に不具合発生
空調(産業用) 5cm以上 開放型冷却塔では火山灰が冷却水に混ざることで不具合が発生し停止
(本項目は下記大塚ほかの文献をもとに記載)

出典:大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ
「大規模噴火時の広域降灰対策について―首都圏における降灰の影響と対策―~富士山噴火をモデルケースに~(報告)」p.10-p.12
https://www.bousai.go.jp/kazan/kouikikouhaiworking/index.html
及び、大塚・野畑・諏訪・久保・宮村・宮城「空調室外機および冷却塔の降灰実験」『日本建築学会技術報告集』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijt/27/65/27_580/_article/-char/ja/ を参考に弊社にて作成

(4)  被害想定:道路除灰を軸にした安全確保と復旧

道路除灰については、安全確保とその後の復旧活動への影響が大きいことから関心が高いが、ガイドラインでは、下図のとおり、危険な地域からの避難、そして物資供給とインフラ・ライフラインの維持・管理のため、道路を確保する計画が示されている。

図表4 被害の様相に応じた対応手順の概要
出典:内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」p.22
https://www.bousai.go.jp/kazan/shiryo/index.html

なお、大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループにおいて、非常に簡易な設定での概算であるが、噴火12日目に重機や運転手の手配をし、3日目0時からホイールローダを1,000台稼働させることで、噴火発生から4日目の朝に緊急輸送道路を2車線啓開することができるとの試算が示されている[7]

3.ガイドライン等に示された広域降灰対策

(1)  対応の流れ:噴火前の避難指示は想定されていない

ガイドラインでは、「緊急的・直接的な命の危険性は低い、という降灰の特徴」「首都圏の人口が非常に多い」「予測の不確実性から、噴火前から社会活動を著しく制限することは現実的ではない」ことから、住民は「できる限り降灰域内に留まって自宅等で生活を継続することを基本とすることが現実的」としている[8]

以上の方針をもとにしたステージごとの対応の流れがガイドラインでは下図のとおりまとめられている。「対応のトリガーとなる大規模噴火発生の情報」は噴火後に発表するとされており、噴火前の避難指示は想定されていないことがわかる。

図表5 被害の様相に応じた対応の流れ
出典:内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」p.19
https://www.bousai.go.jp/kazan/shiryo/index.html

(2)  企業の対応:従業員と施設利用者の安全確保等

降灰時には鉄道が運行を停止することが予想され、首都圏では帰宅困難者が多数発生することが想定される[9]。よって、企業等においては従業員に限らず施設利用者についても安全を確保する必要があり、一時滞在施設等の開設や平時からの備蓄等の準備を行うことが望ましいとされている。

なお、噴火後から降灰するまでの間に従業員を帰宅させることを検討する企業も多いと推察するが、富士山が噴火した場合、風の状況によっては噴火発生から1〜2時間程度で火山灰により日が遮られて暗くなり、降り続く火山灰により視界も極めて悪くなると想定されている[10]ことから、鉄道はすぐさま運行を停止し、よほど短距離でなければ車両や徒歩で移動することは危険だと推測される。さらに、多数の人が一斉に移動すれば群衆事故の恐れもある。よって、帰宅等を開始するのは降灰が落ち着いてからになると見込まれる。

また、帰宅等を開始するタイミングについて、国や自治体から参考となる情報が発表されるかは不透明である。例えば、気象庁の検討会において火山灰警報(仮称)等を新設する方針が示されており、当該警報等の解除をもって帰宅等を開始すると定められる可能性もあるが、解除基準について結論がでていない[11]

ガイドラインでは、事業所での対応について、下図のとおり示されている。

図表6 事業所における降灰時の従業員や施設利用者等の安全確保対策の例

出典:内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」p.25
https://www.bousai.go.jp/kazan/shiryo/index.html

(3)  備蓄品の目安:1週間分を推奨

降灰対策のため、企業は何をどれほど備蓄すべきだろうか。ガイドラインでは、家庭での備蓄品について、品目例を下図のとおり示し、量については、「首都直下地震対策では1週間分の備蓄が推奨されているが、降灰対策としては、噴火の長期化等の可能性もあることから、可能であればそれ以上の備蓄を行うことが望ましい(富士山の宝永噴火では2週間噴火が継続した。)」[12]としている。企業における備蓄品目や備蓄量を検討する場合にも、本目安は参考となるだろう。

図表7 備蓄品目及び降灰対策用品の例
出典:内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」p.23
https://www.bousai.go.jp/kazan/shiryo/index.html

(4)  防災情報:現行制度と今後の見込み、及び防災情報の限界

□  火山灰に関する防災情報の全体像(今後整備見込みの情報含む)

火山に関する防災情報はさまざま運用されており、火山灰に関する主な情報は下図のとおりである。ただし、吹き出しで補足されているとおり今後整備見込みの防災情報を含んでおり、現行制度においても発表されるのは、「噴火関連情報」と「火山灰予測情報」であることに注意されたい。

なお、現行制度では「火山灰予報」ではなく「降灰予報」という名称である。また、「新たに導入」とある火山灰警報(仮称)等の新規導入と、「改善」と付記されている火山灰予報の改善については、実際に運用されるまでに特に時間を要すると見込まれる。

図表8 火山灰に関する主な情報
出典:広域降灰対策に資する降灰予測情報に関する検討会「広域に降り積もる火山灰対策に資する火山灰予測情報のあり方(報告書)」p.34
『図18広域に降り積もる火山灰対策に資する火山灰予測情報発表のイメージ』
※弊社にて点線吹き出しの補足を追加
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/shingikai/kentoukai/2025kouhai/kouhaikentoukai.html

□  防災情報の詳細

・噴火前の情報

噴火前に発表される主な情報として、下表のとおり、気象庁から発表される噴火警戒レベル付きの噴火警報・予報や、降灰予報(定時)等があり、また、ガイドラインによれば、国や自治体から発表される備蓄品の確認等の呼びかけ等が予定されている。

図表9 富士山の噴火前に発表される主な公的情報

項目 内容
噴火警報・予報
噴火警戒レベル
噴火に伴って、生命に危険を及ぼす火山現象の発生が予想される場合や、その危険が及ぶ範囲の拡大が予想される場合に、「警戒が必要な範囲」を明示して気象庁が発表する。富士山では噴火警報・予報に噴火警戒レベルが付されて発表される。
また、気象庁報告書の32ページにおいて、大規模噴火を想定し噴火前に噴火警戒レベルを4・5に引き上げる場合、火山灰のハザードマップ等も活用して、噴火警報の中で火山灰の影響について周知することが望ましいとしている。
火山の状況に関する解説情報
(臨時)
噴火警戒レベルの引き上げ基準に現状達していないが、今後の活動の推移によっては噴火警戒レベルを引き上げる可能性があると判断された場合等に気象庁が発表する。
降灰予報(定時)

※気象庁報告書では
「降灰予報」から「火山灰予報」に改称することが提言されている(以下同じ。)。

噴火警報発表中で噴火により人々の生活に影響を及ぼし得る降灰が予想される場合に、火山に対し定期的(3時間ごと)に気象庁が発表する。仮に18時間先までに噴火した場合に予想される降灰範囲等が示される。
火山防災情報
備蓄品の確認等の呼びかけ
降灰時の行動の周知
買占め抑制等の呼びかけ
ガイドライン19ページによると、噴火活動活発化の段階で、国から火山防災情報の発表、国や地方公共団体から、備蓄品の確認等の呼びかけや、降灰時の行動の周知、買占め抑制等の呼びかけが行われる。

出典:気象庁「知識・解説『火山』」https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kazan/vol_know.html
内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」https://www.bousai.go.jp/kazan/shiryo/index.html を参考に弊社にて作成

・噴火後の情報

噴火後に発表される情報として、下表のとおり、気象庁から発表される噴火速報や降灰予報がある。また、ガイドラインや気象庁報告書によれば、今後、火山灰警報(仮称)等が新たに整備される見込みである。

図表10 富士山の噴火後に発表される主な公的情報

項目 内容
噴火速報 一定基準を満たす噴火が発生したとき、火山名と噴火時刻のみの端的な情報を気象庁が発表する。
噴火警報・予報
噴火警戒レベル
(上表に同じ)
降灰予報(定時)
降灰予報(速報) 一定以上の降灰が予測された場合に、噴火から5~10分程度で気象庁が発表する。噴火発生から1時間までの間に予想される降灰分布等が示される。
降灰予報(詳細) 一定以上の降灰が予測された場合に、噴火から20~30分程度で気象庁が発表する。噴火発生から6時間先までに予想される降灰分布や降灰開始時刻等が示される。降灰分布は「0.1mm未満」「0.1mm以上1mm未満」「1mm」以上の3階級で示される。
広域降灰に関する対応の
トリガーとなる
大規模噴火発生の情報
ガイドライン15ページによると、広域降灰発生の可能性を伝え防災対応を始めるために国が発表する。気象庁報告書の30ページによると、広域に火山灰が降り積もる可能性があるプリニー式噴火であることを判断する基準(すなわち当該トリガー情報の発表基準)について、当面は、「噴煙高度が火口上10,000m程度を超えていること」「噴火が30分以上継続していること」とするべきとされている。
【今後新規導入の見込み】
火山灰警報・注意報(仮称)

※気象庁報告書から、ガイドラインにおける
「広域降灰に関する見通しに関する情報」
としても運用されるとみられる。

気象庁報告書23ページから24ページによると警報・注意報の内容は次のとおり。
噴火開始時点から降り積もる降灰厚を基準に、原則市町村単位で、気象庁が発表する。発表に当たっては、各気象台や地方公共団体等が観測した降灰厚も参考にする。発表基準及び内容は、降灰厚が0.1mm以上のとき注意報、3cm以上のとき警報、そして30cm以上のとき一段強い呼びかけとする。

出典:気象庁「知識・解説『火山』 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kazan/vol_know.html
気象庁「噴火速報の説明」https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kazan/funkasokuho/funkasokuho_toha.html
気象庁「降灰予報の説明」https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kazan/qvaf/qvaf_guide.html
内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」 https://www.bousai.go.jp/kazan/shiryo/index.html
広域降灰対策に資する降灰予測情報に関する検討会「広域に降り積もる火山灰対策に資する火山灰予測情報のあり方(報告書)」を参考に弊社にて作成

□  防災情報の限界

最後に、以上の防災情報の限界についても、ここで確認しておきたい。火山災害は特に不確実性の高い災害であることから、防災情報の限界を認識した上で活用することが望ましい。

・噴火前の情報の限界について

富士山の噴火前においては、地殻変動や火山性地震等の観測に基づき噴火警戒レベル等の各種情報が発表される[13]が、噴火前に噴火の規模や火山灰の影響を正確に予測することはできない。気象庁報告書においても、「現在の火山学の知見では、事前に噴火の規模(噴煙高度・噴火継続時間)や噴火のタイミングを予測できないため、噴火前に、噴火時の風の影響を反映した火山灰の量の予測を行うことは困難である。」[14]と言及している。

実際、火山観測技術の進展等により、噴火を予知できた事例もあるが(2000年有珠山、2000年三宅島)、火山活動の活発化は観測されていたものの噴火を予知できなかった事例もあり(2014年口永良部島、2014年御嶽山)、加えて、観測データから、噴火の規模・様式、噴火がはじまった後の噴火活動の推移を予測することは難しいため、それらについて過去の噴火履歴をもとにした予測が行われている[15]

以上のとおり正確に噴火を予知することは困難なため、噴火前の情報には大きな誤差が生じ得る。気象庁報告書においても、現行の「降灰予報(定時)」により、噴煙高度や風向きを仮定して降灰範囲等の予想を示すことが望ましいとしつつ、「大規模噴火を想定して噴火前に噴火警戒レベルを4または5に引き上げる場合には、大規模噴火時の火山灰量を示した火山灰のハザードマップ等も活用して、噴火警報の中でより詳細に記載するなどして火山灰の影響に関して周知を図ることが望ましい」[16]とあり、噴火規模や風向き等が「降灰予報(定時)」の想定と異なったとしても降灰厚が予想以上になってしまわないような情報発信を国に促していると見られる。なお、ここで言う「火山灰のハザードマップ」とは、富士山火山防災対策協議会の「降灰の可能性マップ」であると推察される。

・噴火後の情報の限界について

富士山の噴火後において各種情報が発表されるものの、噴火直後や噴火継続中の段階で避難を検討する場合等には以下①~③の限界について留意する必要がある。

① 情報発表がタイムリーでない

現在検討されている広域降灰に関する対応のトリガーとなる大規模噴火発生の情報は、上述のとおり噴火が30分間以上継続していることを発表基準のひとつとしている。降灰シミュレーションによると、噴火時の風向きによっては、噴火3時間後には首都圏を横断し千葉県・茨城県の太平洋側まで降灰範囲が広がる試算となっており[17]、当該情報が発表される頃には首都圏ですでに降灰が開始していてもおかしくない点に留意する必要がある。

② 風向き等によって降灰分布が大きく変動する

実際の降灰範囲は、風向きによって大きく変動する。ワーキンググループで示された降灰シミュレーションでは、下図のとおり①宝永噴火の降灰実績に近い西風卓越、②西南西風卓越、③風向きの変化が大きい南寄りの風の3つのケースを想定している。新宿区付近を例に挙げると、①や③のケースでは降灰量が4cm以下となるが、②のケースでは降灰量が10cm前後に達する等、風向きによって地点ごとの降灰範囲は大きく変化する。また、1707年の宝永噴火時は約2週間にわたって噴火が継続している。風向きは予測対象となる時間が先になるほど誤差が大きくなり、また火山からの火山灰の噴出量の予測が難しいため、今後の降灰分布を正確に予測することは難しい点に留意が必要である。

図表11 風向き別の降灰シミュレーション
出典:大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ「大規模噴火時の広域降灰対策について
―首都圏における降灰の影響と対策―~富士山噴火をモデルケースに~(報告)」の別添資料1を弊社にて加工
https://www.bousai.go.jp/kazan/kouikikouhaiworking/index.html

③ 降灰厚の階級分けが大規模噴火の降灰厚に対応していない(ただし、③は今後改善される見込み。)

現在の降灰予報は、降灰厚を「0.1mm未満」「0.1mm以上1mm未満」「1mm以上」の3階級としており、富士山の大規模噴火で想定されるような3cm以上や30cm以上の降灰が「1mm」にまとめられてしまうため、どこに避難すれば火山灰の影響を比較的避けられるのかが分かりにくい点に留意が必要である。

(5)  小括(ガイドライン等をもとにした企業の広域降灰対応方針)

本章では首都圏に立地する企業に向けて、主にガイドラインの内容について概要を示した。ガイドラインにおける広域降灰対策を踏まえると、富士山噴火について、特に首都圏に立地する企業としては、噴火前に大規模噴火を予知して大規模な対応をとることや、噴火直後に正確な降灰分布を把握して対応することは困難であると言える。したがって、火山活動の高まりに対する警戒体制をとり、可能な限りテレワーク等に切り替え、噴火発生を感知すれば屋内に退避して降灰が収まるまで待機するなど安全確保策をとり、噴火の影響の大きさに応じて事業継続対応を判断することが企業の基本的な対応方針になると考えられる。

4. 噴火前から富士山周辺ではじまる避難行動とその首都圏への影響

ここまで宝永噴火のような広域降灰をもたらす大規模噴火を前提に検討してきた。一方で、富士山噴火の歴史の中で、宝永噴火は特殊な例であることにも注意が必要である。富士山周辺では、例えば溶岩流を主体とした噴火も想定して避難計画を策定しており、火山活動の高まりに応じて噴火前から避難を開始することとなっている。

本章では、ガイドラインからは少し離れるが、富士山火山防災対策協議会が策定した「富士山火山避難基本計画」の内容を概観し、富士山周辺での避難行動が首都圏に与える影響についても確認しておきたい。

(1)  多様な噴火現象と噴火シナリオ

□  降灰以外の噴火現象

富士山周辺の自治体においては、降灰以外の影響にも注意する必要がある。噴石や火砕流、溶岩流等の影響が考えられ、各現象が及ぼす生命への危険性と、各現象が発生してから避難するまでの時間的猶予は大きく異なる。このため、富士山周辺の自治体や交通事業者は、溶岩流等の降灰以外の現象に着目した避難開始基準や交通規制の目安を設定している。

図表12 噴火現象の特性と避難時期の整理
出典:富士山火山防災対策協議会「富士山火山避難基本計画」p.2.9
https://www.pref.shizuoka.jp/bosaikinkyu/sonae/kazanfunka/fujisankazan/1053271.html

□  突然の噴火や、噴火に至らないシナリオも

火山活動の特徴として、予兆現象がほぼなく、ごく短時間で噴火に至ることもあれば、火山活動が高まったものの噴火に至らないことや、数か月後になって噴火することもある。富士山火山避難基本計画では下図の四角で囲まれた、順を追って噴火警戒レベルが高まり噴火に至る「基本的シナリオ」を前提にしているが、他のさまざまなシナリオにも対応できるよう各自治体の訓練等で対応するよう推奨している。

図表13 噴火シナリオについて
出典:富士山火山広域避難計画検討委員会「富士山火山避難基本計画の概要について」p.8 『噴火シナリオの作成』
https://www.pref.shizuoka.jp/bosaikinkyu/sonae/kazanfunka/fujisankazan/1053271.html

(2)  周辺自治体の避難計画

□  多様な噴火現象に応じた避難計画

富士山火山避難基本計画では、噴火現象ごとに危険性を評価し、現象が発生してから避難するのでは間に合わない現象については噴火前に避難するとし、大きな噴石、火砕流・火砕サージ、一部の融雪型火山泥流からの立ち退き避難を定めている。それ以外の溶岩流等の現象については原則として発生後に避難するとしている。

□  段階的な避難計画

富士山では、下図のとおり、避難対象エリアが第1次から第6次まで設定されている。一般住民が事前避難するのは第1次・第2次避難対象エリアであり、噴火警戒レベル3で第1次避難対象エリアの住民が、噴火警戒レベル4で第2次避難対象エリアの住民が避難する。第3次避難対象エリア以降では基本的に噴火後に避難する。

噴火警戒レベルとは、気象庁が火山活動の活発化とともにレベル1からレベル5まで引き上げていくものである。なお、富士山においては、火山活動が活発化する際に「噴火警戒レベル2(火口周辺規制)」は原則発表されず、「噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)」のままで「解説情報(臨時)」が発表されることとなっている。これは富士山のどこが火口になるか事前に予想できないため、警戒範囲を限定できないため噴火警戒レベル2の役割を果たすことが困難なためである[18]

図表14 溶岩流等の影響想定範囲と避難対象エリア
出典:富士山火山防災対策協議会「富士山火山避難基本計画」p.2.16
https://www.pref.shizuoka.jp/bosaikinkyu/sonae/kazanfunka/fujisankazan/1053271.html

図表15 富士山火山における避難の全体イメージ
出典:富士山火山防災対策協議会「富士山火山避難基本計画」p.2.19
https://www.pref.shizuoka.jp/bosaikinkyu/sonae/kazanfunka/fujisankazan/1053271.html

(3)  富士山周辺での避難行動が首都圏に与える影響の検討

□  鉄道の運休・高速道路の交通規制は噴火発生後が中心

富士山山麓を新幹線や東名高速道路が通るため、交通規制による影響も日本全国に及ぶ可能性がある。とはいえ、富士山火山避難基本計画には以下のように定められており、火山活動による地震や地殻変動等で噴火前から直接的な被害や避難者・自主避難者による渋滞が生じていなければ、影響が本格化するのは噴火発生後となる見込みである。

「富士山周辺では、鉄道路線は第2次避難対象エリアより外側を通っていることから、基本的に運行規制は噴火後に実施するが、火山の活動状況等により、鉄道事業者の判断で早い段階から規制を行うこともある。」[19] と、噴火前から全面的な運休となることは想定されていない。

また、高速道路については、噴火警戒レベル3以降は「影響範囲内への流入規制(不要不急の場合に限る)」が行われ、噴火発生後に「避難指示が発令された地域を含む区間」に対して警察による交通規制や道路管理者による通行止め等が行われることとされている[20]

□  噴火警戒レベル3で避難対象エリアの学校等が休校

学校では、心情的に富士山噴火の切迫感を高めると考えられる行動が噴火警戒レベル3でとられる。基本計画では、「第1次から第6次避難対象エリア内の全ての学校・児童関連施設において、噴火警戒レベルが3に引き上げられた時点で原則として速やかに休校等の措置を行う。」[21] とされており、多数の学校で児童・生徒の保護者への引き渡しが行われることになる。

この行動が報道された時に、避難対象エリア外の山梨県・静岡県・神奈川県の住民、あるいは首都圏の住民の警戒感は大きく高まるものと推測される。

□  富士山周辺での避難行動が首都圏企業に与える影響の大きさは未知

本章で整理したとおり、富士山周辺では火山活動の活発化とともに噴火前から避難行動を開始することが計画されている。首都圏に立地する企業においても、噴火前から直接・間接に影響が生じると考えられる。

直接的影響としては、富士山周辺への出張制限や、富士山周辺に事業所がある場合は、当該事業所の安全確保や事業継続対応に関する指示が求められる。

間接的影響としては、富士山周辺に立地する取引関係の企業の業務縮小や、道路規制等による物流網の混乱が想定される。さらに、富士山周辺で避難行動がとられるにつれて、報道等を通じて首都圏においても富士山の大規模噴火に対する切迫感が高まり、従業員や利用者等から、今後の対応方針の説明や心情にも配慮した、より安全な対応を求められることも想定される。特に富士山噴火との連動が懸念される南海トラフ地震が発生していた場合、首都圏における切迫感の高まりは非常に高いものになると推察される。

これらの影響の大きさは未知のものであることから、首都圏においても、噴火前から富士山噴火に備えた大規模な対応が求められ、結果として首都圏の社会経済活動が噴火前から急減速する可能性も考慮して、企業は対応を検討すべきではないだろうか。

5. 首都圏企業に求められる対応に関する提案

富士山による広域降灰に対し、ガイドラインでは「噴火前から社会活動を著しく制限することは現実的ではない」[22] とし、基本的に噴火後に対応することが想定されているが、一方で、富士山火山避難基本計画の内容を検討すると、富士山周辺での避難行動や報道等を受けた首都圏における切迫感の高まり方等によっては首都圏企業においても噴火前から大規模な対応を求められる可能性がある。そこで、本稿ではシナリオを2つ想定して対応を検討することを提案する。

なお、シナリオを2つ想定するもう1つの背景として、降灰による設備損傷を防ぐには降灰前に設備を停止する必要があるという課題もある。噴火後、従業員や利用者等が社内に留まる場合、空調設備等を止めるという判断は難しいため、空調設備等の運転を継続することで、火山灰により各種設備が損傷し復旧に時間を要することになる。よって、噴火前からの店舗の営業休止や工場の操業停止、テレワークへの完全切替等により、拠点を閉鎖できる状況を整える対応の検討は、業務の早期再開のためにも意義があると言える。

(1)  シナリオを2つ想定

首都圏の社会経済活動がおおよそ通常通り継続するシナリオをメインシナリオ、首都圏の社会経済活動が急減速するシナリオをサブシナリオとして想定することを提案する。

□  大規模噴火発生まで首都圏の社会経済活動が継続(メインシナリオ:主に噴火後に対応)

噴火の予知は困難であるという前提のもと、富士山の火山活動が活発化しつつも、首都圏における社会経済活動は継続しているというシナリオを想定する。この場合は、噴火発生後に対応を本格化する方針とする。

よって、噴火前には、業務に支障のない範囲でのリモートワークへの切り替え等、一定の事前対策はとるものの、出社等も継続する。また、大規模噴火発生後には、防災情報を参考に、従業員や利用者等の安全確保や、各種設備の保護等を行うとする。

□  大規模噴火発生前から首都圏の社会経済活動が急減速(サブシナリオ:噴火前に大規模対応開始)

富士山の火山活動が活発化する中で、首都圏における社会経済活動が急減速したと想定する。大規模噴火の発生前から、テレワーク対応に加え、事業所の閉鎖と当該事業所の設備保護、代替拠点への業務移管、輸送経路の切り替え等の大規模な対応をとる方針とする。

(2)  シナリオごとに各種対応を検討

次に、以上の2つのシナリオに対して、立地や対象に応じた対応を検討し、計画として文書化する。これらの計画をいかに具体的に策定できるかが、企業における事業継続計画(BCP)等の実効性を左右すると言える。本稿ではポイントのみ提案する。

□  避難計画

・首都圏に立地する事業所

降灰による影響を念頭に、従業員や利用者等が社内待機する際の生活方法について検討する。飲食料や生活用品、火山灰対応に特有の資機材の備蓄についても検討する。また、降灰が落ち着いたことをどのように判断し、どのようなルートを徒歩で避難するかについて検討する必要もある。

・富士山周辺に立地する事業所

富士山火山避難基本計画や各自治体の計画を確認し、従業員等が各計画に沿って安全に避難できるよう、拠点の業務縮小や閉鎖のタイミング等を検討する。

□  施設・設備保護計画

・空調設備

降灰による損傷を避けるため、室外機や冷却塔を停止するタイミング等について検討し、交換用のフィルターやカバーを準備するなどの事前対策を検討する。

・下水道

下水管の閉塞を防ぐため、側溝周辺等の除灰方法を検討し、スコップ等の資機材を準備するなどの事前対策を検討する。

・大スパンの建物

特に倉庫・工場・体育館等の大スパンの建物は影響を受けやすく、積雪耐荷重を超えるような降灰があると損壊する可能性がある。よって、除灰を行う降灰厚の目安や除灰した火山灰の仮置き場を検討し、スコップ等の資機材を準備するなどの事前対策を検討する。

□  業務縮小・移管計画

・一般事業所

テレワークへの切り替えや代替拠点への業務移管等を検討する。首都圏以外に代替拠点を設定することが望ましいが、首都圏の全域に火山灰が厚く降り積もるとも想定されていないことから、首都圏に複数の代替拠点を設定しておき、噴火後に降灰状況に応じて代替拠点を選定し、従業員がその拠点に移動するという対応も考えられる。

・データセンター

停電によりデータセンター全体が停止する可能性や、空調設備の損傷に伴う排熱不良、火山灰の侵入によりサーバー等が損傷する可能性もある。遠隔地に設置したバックアップ・サーバーへの切り替えのほか、サーバーの損傷を最小限に抑え早期復旧を図るためサーバーを安全停止することも選択肢として考えられる。

. おわりに

本稿では、降灰による被害想定とガイドラインに定められた首都圏における対応の概要を紹介し、加えて、噴火前から富士山周辺ではじまる避難行動とその首都圏への影響についても検討の上、首都圏に立地する企業に求められる対応について提案した。

ガイドラインにおいても、企業は事業継続計画(BCP)等を策定し、訓練を実施するなどの事前対策をとることが望ましいとある。本稿が首都圏に立地する企業における富士山噴火対策検討の一助となれば幸いである。

[2025年5月29日発行]

参考情報・サービスご案内

執筆コンサルタント

佐藤 太一
ビジネスリスク本部 ビジネスリスク第二ユニット 主任研究員
専門分野:防災・BCP

高田 悠輝
ビジネスリスク本部 ビジネスリスク第二ユニット 主任研究員
専門分野:防災・BCP

事業継続計画(BCP)策定支援

サービス紹介ページはこちら別ウィンドウで開きます

脚注

[1] 内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」p.14 https://www.bousai.go.jp/kazan/shiryo/index.html
※特にカッコ内は引用である。本資料は本文中では単に「ガイドライン」と表記している。
[2] 「降灰厚」とは、降り積もった火山灰の厚さを差す(単位はセンチメートル等)。同じ意味で、「降灰量」という用語も用いられる。本稿では出典資料の登場順の関係から「降灰厚」で用語を揃えたが、気象庁報告書の30ページに、「降灰」ではなく「火山灰」の語句を用いて「火山灰量」と記述し、また、「厚さ」ではなく「深さ」と表現することが望ましいとあるため、今後は順次「火山灰量」の「深さ」に用語が揃えられていく見込みである。
[3] 大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ「別添資料1 降灰シミュレーションのパラメータと計算結果」p.1-p.2 https://www.bousai.go.jp/kazan/kouikikouhaiworking/index.html
※降灰シミュレーションでは、宝永噴火と同規模の火山灰噴出が発生すると仮定しており、噴火のタイミングも同じように設定されている(図表1では赤枠の三角形で噴火タイミングを示している)。風向きについては、西南西風卓越ケース(ケース2)においては、2010年10月14~28日の風向きのデータを用いている。
[4] 内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」p.14 https://www.bousai.go.jp/kazan/shiryo/index.html
[5] 首都圏における広域降灰対策検討会 第3回「資料1 首都圏における広域降灰対策について」p.13 https://www.bousai.go.jp/kazan/shutokenkouhai/index.html
[6] 首都圏における広域降灰対策検討会 第3回「資料1 首都圏における広域降灰対策について」p.15 https://www.bousai.go.jp/kazan/shutokenkouhai/index.html
[7] 大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ「大規模噴火時の広域降灰対策について―首都圏における降灰の影響と対策―~富士山噴火をモデルケースに~(報告)」の別添資料3、p.1 https://www.bousai.go.jp/kazan/kouikikouhaiworking/index.html
[8] 内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」p.14 https://www.bousai.go.jp/kazan/shiryo/index.html
[9] 内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」p.24 https://www.bousai.go.jp/kazan/shiryo/index.html
[10] 広域降灰対策に資する降灰予測情報に関する検討会「広域に降り積もる火山灰対策に資する火山灰予測情報のあり方(報告書)」p.20 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/shingikai/kentoukai/2025kouhai/kouhaikentoukai.html※本資料は本文中で「気象庁報告書」と表記している。
[11] 広域降灰対策に資する降灰予測情報に関する検討会「広域に降り積もる火山灰対策に資する火山灰予測情報のあり方(報告書)」p.24 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/shingikai/kentoukai/2025kouhai/kouhaikentoukai.html
[12] 内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」p.23 https://www.bousai.go.jp/kazan/shiryo/index.html
[13] 気象庁「噴火警戒レベルの判定基準」富士山 判定基準表 https://www.data.jma.go.jp/vois/data/filing/level_kijunn/keikailevelkijunn.html
[14] 広域降灰対策に資する降灰予測情報に関する検討会「広域に降り積もる火山灰対策に資する火山灰予測情報のあり方(報告書)」p.31 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/shingikai/kentoukai/2025kouhai/kouhaikentoukai.html
[15] 吉田武義・西村太志・中村美千彦『火山学』p.240-p.241
[16] 広域降灰対策に資する降灰予測情報に関する検討会「広域に降り積もる火山灰対策に資する火山灰予測情報のあり方(報告書)」p.32 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/shingikai/kentoukai/2025kouhai/kouhaikentoukai.html
[17] 大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ「大規模噴火時の広域降灰対策について―首都圏における降灰の影響と対策―~富士山噴火をモデルケースに~(報告)」の別添資料1、p.12 https://www.bousai.go.jp/kazan/kouikikouhaiworking/index.html
[18] 富士山火山防災対策協議会「富士山火山避難基本計画」p.2.10 https://www.pref.shizuoka.jp/bosaikinkyu/sonae/kazanfunka/fujisankazan/1053271.html
[19] 富士山火山防災対策協議会「富士山火山避難基本計画」p.3.95 https://www.pref.shizuoka.jp/bosaikinkyu/sonae/kazanfunka/fujisankazan/1053271.html
[20] 富士山火山防災対策協議会「富士山火山避難基本計画」p.3.91 https://www.pref.shizuoka.jp/bosaikinkyu/sonae/kazanfunka/fujisankazan/1053271.html
[21] 富士山火山防災対策協議会「富士山火山避難基本計画」p.3.63 https://www.pref.shizuoka.jp/bosaikinkyu/sonae/kazanfunka/fujisankazan/1053271.html
[22] 内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」p.14 https://www.bousai.go.jp/kazan/shiryo/index.html

PDFファイルダウンロード

富士山大規模噴火に対し首都圏企業に求められる対応~内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」の策定を受けてPDF

リスクマネジメント最前線トップへ戻る