あらためて考える企業における地震火災対策
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2017/10/20
目次
- 地震火災の概要
- 企業における地震火災の対策のポイント
- おわりに
あらためて考える企業における地震火災対策- リスクマネジメント最前線PDF span>
執筆担当
谷 洋平
企業財産本部 経営リスク定量化ユニット
2011年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)以降も、2016年4月の熊本地震、10月の鳥取県中部地震など、地震被害が多数発生している。地震による被害としてまず思い浮かぶのは、地震発生により生じる大きな揺れ(以下、地震動)を要因とした建物被害、人的被害、液状化被害や土砂崩壊等の直接的な被害である。地震動による被害は地震災害における第一の要因であり、被害事例も多くイメージしやすい。また、東日本大震災では大きな津波が東北地方・関東地方の太平洋沿岸に発生し、甚大な被害が発生したことから、津波についても想起されるものと思われる。
防災対策においては、直近の災害を教訓としたものに重きを置かれる傾向があるほか、地震動や津波を要因とした被害対策や大都市を中心に地震後火災による被害対策についての指摘がなされている。地震防災対策を綿密に検討するうえでは様々な被災シナリオを想定し、副次的な被害への対策も検討することが重要である。副次的な被害としては、火災や爆発、動力の停止、非常時用安全装置の稼動不備による機器の損傷などの事態が想定されるが、その中でも最もリスクが高いのは火災であろう。火災被害は自社の施設・敷地内だけでなく周辺地域まで飛び火し、大規模に被害が拡大するおそれがある。そのため、そのようなことにならないよう万全の策を検討する必要がある。
本稿では、あらためて地震火災の危険性や要因について解説し、企業として考える地震火災のポイントをいくつか紹介したい。
1. 地震火災の概要
まず、地震火災リスクに関する既存調査や過去の被害を紹介し、その危険性を確認したい。
(1) 東京都「地震に関する危険度測定調査」について
東京都が実施している「地震に関する危険度測定調査」[1] をご存じだろうか? この調査は約5年に1回定期的に実施されているもので、都内の市街化区域を町丁目ごとに分け、各地域における地震に関する危険性を建物の倒壊および火災について測定している。地震に関する危険性として、建物倒壊の危険性、火災の危険性や災害時の活動困難度を相対的な指標として示している。活動困難度は最近加わった指数で、建物倒壊や火災発生時の地域からの避難、火災の消火・救助活動のしやすさの観点から、地域の道路網の稠密さや幅員が広い道路の多さなど、道路基盤の整備状況を考慮して評価したものである。図1に示すように火災リスクは地域ごとに相対的に示され、荒川沿いの地域が特にリスクが高いことなどもわかるようになっている。ホームページに掲載されている報告書には、リスクの高い上位100町丁目も記載されているので、東京都民や都内に事業拠点がある方は是非参照されたい。都民でない方も、都市部や古い住宅地域、工業地帯など、どのような地域でリスクが高いか確認できるので、自らの関心の高い場所の特性と照らし合わせて参考にされたい。なお、この最新の調査は第7回(2013年9月発行)であるが、現在、第8回の調査結果公表に向けて検討が進んでいる。近いうちに公開されることも期待されるので、是非継続して注視いただきたい。
図1 東京都「地震に関する地域危険度調査」(第7回):火災危険度ランクが高い地域
出典:東京都整備局「地震に関する地域危険度測定調査」資料[1]をもとに弊社作成
(2) 過去・将来の地震被害における地震火災
過去の地震被害において、大規模な地震火災が発生した事例は多い。
日本における過去の地震被害において、最大規模の地震火災が発生したのは、1923年の大正関東地震(関東大震災)である。「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書」によると、焼失した住家数は約21万戸、火災による死者数(行方不明者含む)が約9万人となっている[2]。国勢調査によれば、1924年時点での東京都の人口は約449万人であり、全都民の約2%にあたる非常に多くの方が亡くなったことがわかる。火災は東京都(現在の江東区や中央区等)だけでなく、神奈川県横浜市や横須賀市においても発生している。この同時多発的な大火災の要因としては様々な事項が挙げられている。まず、最初に挙げられるのが地震発生時刻である。地震は午前11時58分に発生したため、多くの家庭では昼食の支度で火が焚かれており、かまどや七輪から火災が発生した。次に消防力である。当時の消防は水源を水道に頼っており、水道が地震により断水したため機能が果たせなかった。さらに気象環境である。当時は風速12m/秒を超える強風が吹いており、風向も一定せずに変わったため、火災延焼を拡大させた。この大規模な火災は火災旋風(竜巻のような大火災の渦)という現象を発生させ、これと強風が合わさって東京都東部は焼野原となったと考えられている。現在では、大火災の延焼拡大防止のための都市計画も進むとともに、消防力も整備され、今、同じ環境で同じ地震が発生したとしても、被害の状況が同等水準となることは考えにくいが、最悪の環境・状況下で地震火災に直面する点からすると学ぶべきことは多い。
近年では、1995年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)で285件[3]、2011年東日本大震災で239件[4]の地震火災が発生している。阪神・淡路大震災は、1995年1月17日の早朝に発生した地震であるが、夜が明けた時に各地で火災による煙が立ち上っている映像は衝撃的であった。火災被害が甚大であったのは、神戸市長田区であった。長田区は古い木造住宅が密集していた地域で、地場産業(ケミカルシューズ工業)で可燃物が大量にあったことも延焼拡大の1つの要因との指摘もある。当時の風速は弱く、延焼速度は比較的遅かったものの、4割程度が延焼拡大した[5]。また停電後、電力が復旧した際に消し忘れて転倒したストーブなどから出火する、いわゆる「通電火災」も多く発生した。
東日本大震災では、津波による火災が特徴的であった。津波襲来時には、燃料タンクなどの可燃物が流され、何かしらの要因で引火し火災が発生したり、流された自動車から出火したりと、様々な要因で火災が発生した。1993年北海道南西沖地震でも、奥尻島を津波が襲い、流されたプロパンガスボンベや家庭用燃料から出火した事例もあり、こういった津波火災は起こるものと認識されたい。 2016年に発生した熊本地震や鳥取県中部地震の際にも、地震後に自治体や消防等が火災発生への注意を喚起していたが、熊本地震では15件の火災が発生したと報じられている[6]。火災発生を防止する機器・設備の普及も進み、また地震の発生時間が暖房や厨房器具の使用頻度が低い春の夜だったことなど、火災発生・拡大要因が多くない条件であったこともあり、大規模な火災にはつながらなかったものと考えられる。
また、将来起こりうる首都直下地震などの想定地震シナリオにおいても、地震火災時のリスクは重要なリスクと認識されている。内閣府では、平成24年4月から平成25年12月まで「首都直下地震対策検討ワーキンググループ」を開催し、首都直下地震(M7クラス)、相模トラフ地震(M8クラス)に備えて、被害想定、社会・経済への影響と課題、対応などを検討し、その中でも地震火災を重要な項目として位置付けている[7]。このワーキンググループでは、羽田空港付近を震源とする都心南部直下地震が発生した場合、地震火災により、最大約41万棟(倒壊等と合わせると最大約61万棟)が焼失、最大約1.6万人(建物倒壊等と合わせると最大約2.3万人)が死亡すると想定している。これらの想定は、地震発生の季節や時刻、風速等の気象条件等に大きく影響を受ける内容となっており、過去の大火災が発生した地震時の条件が反映されている。
(3) 地震火災の発生要因
「地震火災」とは、一般的に「地震によって発生する火災」を指すが、その発生要因は様々である。以下に、東日本大震災における地震火災のいくつかの要因を日本火災学会がまとめた報告書を参照して示す[4]。
① 地震により使用中のストーブが倒れ周囲の可燃物に着火。
② 地震によりボイラーの煙突が破損するも、破損に気づかずに使用したところ、熱が漏れて煙突周辺の可燃物に着火。
③ 地震で発生した津波による浸水で電気器具がショートし、器具本体から出火。
④ 地震で発生した津波に浸水した車両を運転したところ、津波の影響でエンジンルーム内に溜まった枯草が過熱。
⑤ 地震による停電中に、灯りを取るためにロウソクを使用し、誤ってロウソクを転倒させる。
⑥ 野焼き作業中に地震が発生し、消火を忘れて避難したところ延焼。
ここに示した地震火災の発生要因は一例に過ぎず、出火要因が特定できなかった火災も多い。このように、地震火災発生の要因は地震動や津波だけでなく、機器設備の設置状況や周辺の可燃物の散乱など、個々の環境・状況による。一言で要因を言い表せないため、それぞれの状況で適切な対策を自ら考える必要があり、それが対策を困難にしている。
過去に地震火災が大きかった震災(1923年関東大震災、1995年阪神・淡路大震災、2011年東日本大震災)を比較してみたい。関東大震災では、地震が昼食時に発生したこともあり、かまどや七輪からの火災が非常に多く発生したが、阪神・淡路大震災や東日本大震災では、使用する火気器具やエネルギー等の生活様式の変化により、発生要因が大きく変わった。すなわち、5割以上が電気設備からの出火であり、その要因は以下のとおり多岐にわたる。
① 地震により使用中のストーブや白熱灯が倒れ周囲の可燃物に着火。もしくは、それら高温機器に周囲の可燃物が落下・接触し着火。
② 地震時には使用していなかった機器が、地震の衝撃によりスイッチが入り出火。
③ 地震の衝撃によりコードが損傷しショートや漏電、過負荷を起こし加熱・発火。
これらの発生要因で注意が必要となるのは、地震により停電が発生し、その後、電気が復旧、通電することにより火災が発生する「通電火災」である。東日本大震災の際にも、通電再開時の火災が電気関係のうちの約2割発生している[4]。
阪神・淡路大震災 | 東日本大震災 |
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図2 大規模地震時における火災の発生要因(要因が不明なものを除く)
出典:消防庁資料[3]および日本火災学会資料[4]をもとに弊社作成
図3 電気に起因する出火の可能性がある部位
出典:「大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会」資料[8]をもとに弊社作成
(4) 地震火災による被害の拡大
地震火災で問題になるのが消防能力の不足による延焼拡大である。地震により複数の火災が同時発生することで公設消防の能力が不足し火災が拡大する。また倒壊している建物も多く、消防車が火災地点に到達できない問題もある。加えて各所に設置している消火栓や消火ポンプ、防火扉等の消防火設備が地震により誤作動を起こしたり、損傷によって機能を発揮しないといった事例も発生している[9]。
図4 東日本大震災での消防火設備の被害状況に関する調査結果
出典:「大規模防火対象物の防火安全対策のあり方に関する検討部会」資料[9]をもとに弊社作成
2. 企業における地震火災の対策のポイント
1章で示したように、近年の大震災で最も地震火災の大きな要因となっているのは電気関係である。地震火災は、燃料タンクや化学薬品といった可燃物など、個別の事業所の環境でリスクの大きさが異なるが、電気についてはどの事業所も共通であり、ここでは「電気」の観点を中心に地震火災の対策について、出火防止と被害拡大防止のポイントを解説する。
(1) 地震火災の出火防止
a.発生防止対策の基本
企業においては、大量の電気を消費する場合、高圧かつ大型の電気設備を設置していることが多いが、高圧電気設備については民間規程(高圧受電設備規程)が定められ、耐震設計や耐震対策例についての留意点が記載されている。東日本大震災でも多くの電気設備に被害が発生しているが、それらは耐震設計や施工品質が不十分であったと推察されており、規程等に記載されている耐震対策の確実な実施を必要としている[10]。
また、工場等では電気火災に加えて、危険物や可燃性ガスの使用設備の損傷による火災の発生等が考えられるが、それら以外にも事業内容によって多様なリスクが存在する。たとえば化学工場では、化学反応により発生する熱を冷却する装置が損傷や停電により停止してしまうと、発熱が続いて火災に至るおそれがある。こうした設備は、適切な耐震補強に加えて、電気がなくても制御可能な安全装置の導入、専用の非常用発電機の設置といった対策が必要である。
このようにハード面の対策により、地震火災リスクの低減が可能である。しかし一方で、すべての設備を補強したり、大規模な非常用発電機を導入したりすることは非常に大きなコストが必要となるうえ、これまでの大震災が示してきたように、想定を超える地震が発生し、準備していた対策が有効に機能しない事態も想定される。
そこでポイントとなってくるのがソフト面での対策であり、地震や火災を想定した避難訓練や消火訓練に加えて、機器の損傷や停電が発生した場合でも安全に機器を停止する手順の確立や訓練の実施等が重要になる。たとえば病院においては、医療活動へ影響を与えてしまうため、後述する感震ブレーカー等で一律に電気を遮断するといったハード対策は適切ではなく、地震発生後も通電状態を継続させるため、発火源となるような機器の見回りを強化するなど、地震火災の観点から点検すべき項目を事前に洗い出してリスト化するといった対策が重要になる。
感震器等で遮断した電気やガスの復旧時にも注意が必要である。各設備やケーブル、配管等の異常の有無を確認しながら、1つずつ慎重に復旧を行うことが重要となる。
重要設備や火災リスクが高い施設については、ハード対策により信頼性を向上させ、それを補う形でソフト対策を整備していくことが有効である。
b.感震ブレーカー普及の動き
阪神・淡路大震災以降、地震火災対策としてガス管の耐震強化や感震器連動の遮断装置等の普及が進んでおり、東日本大震災ではガスに起因する火災はわずかであった。そして現在は、地震による電気火災を防止するため、地震発生時に電気ブレーカーを遮断する機能を有する感震ブレーカーの普及を国や自治体で推進している。このような設備は、住宅だけでなく、工場等の事業所でも導入されている。
一般的に、各家庭の分電盤や工場等の配電設備には、漏電やショート(短絡)を感知して自動的に電気を遮断するブレーカーが内蔵されている。このため、地震により電気機器やコードが破損、ショートを起こして発生するような火災には対処できるが、電気機器に問題がない場合、このブレーカーは機能しない。そのため、機器自体には問題がないものの、地震動により周囲の環境に変化があったようなケースで電源が遮断されないと、周囲の可燃物に着火し、火災に至ってしまうことになる。大地震の際には身の安全の確保や設備の転倒、物品の散乱等により、電気機器の電源やブレーカーを遮断する余裕がない場合も多い。
さらに問題となるのは、通電再開時の火災である。地震発生後は停電により電気ストーブ等の電源が切れても、電気が復旧して再び電源が入ることで、火災に発展するおそれがある。避難により無人になったエリアで火災が発生してしまうと、火災の発見が遅れ被害が大きくなる。
これを解消するために、大規模な事業所を中心に、感震器を設置、感震器からの信号により電気設備や各機器への通電を自動で遮断するといった対策もとられている。また、中小規模の事業所向けには、同様の機能をもつ簡易的な装置として感震ブレーカーが開発されている。電気を遮断することで、地震直後に発生する火災はもとより、通電再開時の火災も予防することができる。現状、感震ブレーカーの普及率は極めて低いが、内閣府は首都直下地震や南海トラフ地震の防災対策として感震ブレーカーの普及が重要であると提言している[8]。それに応えるために、各企業は様々なタイプの感震ブレーカーを開発しており、工事を必要としない簡易で安価(数千~1万円程度)な製品も製造されている。これに各自治体も協力し、個人住宅向けに密集住宅地帯には無料で配布するといった動きも出てきている。
表1 各機器の保護範囲
出典:「大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会」資料[8]をもとに弊社作成
(2) 地震火災の被害拡大防止
地震火災の拡大防止対策として、各自治体や消防では消防力の増強や住宅密集地の解消等を進めている。これに対して、各企業が実施できる対策としては、初期消火体制の整備、消火設備能力の向上等が挙げられる。
火災が発生しても確実に初期消火することで、仮に消防の到着が遅れた場合でも火災の拡大防止が可能であり、そのためには定期的な消火訓練によって消火設備に対する従業員の習熟度を向上させ、維持することが必要である。また、火災リスクの高いエリアへの火災感知器や消火器の増強、停電時に消火ポンプを駆動させるための非常用発電機の配備等によって、確実な初期消火のための環境整備も重要である。加えて、地震時に確実に消火器や避難口にアクセスするために、普段からそれら消防火設備の周辺は整理整頓するなど、日常管理にも配慮が必要である。
地震火災による被害シナリオについても、事業継続マネジメント(BCM)において検討を行い、これに対する事業継続計画(BCP)を策定することも重要である。東京都ではすべての事業所に対して防災計画を策定することを条例で要求し、そこに規定すべき事項には、設備の固定や帰宅困難者対策、震災時の災害対応計画に加えて、施設再開までの復旧計画も含まれている。地震火災により施設に壊滅的な被害が発生した場合でも、バックアップシステムの整備や代替拠点の確保等の復旧計画を事前に策定しておけば、早期に操業を再開することが可能となる。被害が大きくなりやすい地震火災においては、BCPの有効性がより顕著に表れるだろう。
(3) 参考:地震火災対策のチェックポイント
以下に事業所における地震火災対策のチェックポイント例を示す。業種や事業形態により必要となる対策は異なるが、これをベースに各事業所の状況を踏まえたチェックポイントについて、対策を検討されたい。
分類 | チェック | チェック項目 |
ハード面 | □ | コードを束ねたり、ねじれたりしたまま使用していないか。 |
□ |
設備の重要度を分類し、それに応じた耐震対策、点検を実施しているか。 |
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□ |
感震機能付きの分電盤やコンセントを使用しているか。使用していない場合、地震後にブレーカーを落とす運用を定めているか。 |
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□ |
ストーブ等の高温になる設備に転倒防止対策が施されているか。周囲の可燃物が落下して加熱されるおそれがないか。 |
|
□ |
危険物や化学物質を扱う設備や保管容器の耐震対策は十分か。また、それらが漏えいした際の対策は検討されているか。 |
|
□ |
ボイラーや火気設備に感震器が設置され、自動停止機能が備えられているか。定期的に作動試験を実施しているか。 |
|
ソフト面 | □ |
地震後に火気設備を使用する場合は、点検を行った後に使用することになっているか。 |
□ |
電気・ガスの復旧時に、配線や配管等の安全を確認するようになっているか。 |
|
□ |
停電により危険性が増加するおそれのある設備に対して、安全に停止するマニュアルを策定しているか。また、定期的に訓練を実施しているか。 |
|
□ |
老朽化した電気設備はないか。適切な点検を実施しているか。 |
|
□ |
消防火設備の点検を定期的に実施しているか。 |
|
□ |
消火器・消火栓の使い方の教育、放水訓練を実施しているか。 |
|
□ |
消防火設備の周りに不要な物品を保管していないか。地震が発生しても容易にアクセス可能か。 |
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□ |
災害後の復旧計画を策定しているか。訓練を定期的に実施しているか。 |
出典:弊社作成
3. おわりに
昨今の地震被害では、地震火災に関する報道はあまり目立たず、地震火災のリスクは小さいと捉えがちである。しかし、本稿で示したように、実際の地震でも火災は多く発生している。地震火災は季節や風速、時間帯など様々な条件によって被害の大きさが異なるものである。また、事業所の環境によってそのリスクが異なる点も重要である。
次の大地震が最悪の条件で発生した場合であっても、甚大な火災被害を避けるために、あらためて自らの地震火災リスクを再認識し、必要な対策を検討されたい。
本稿が、貴社における地震リスクマネジメントへの意識を高める一助となれば幸甚である。
(2017年10月20日発行)
参考情報
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谷 洋平
企業財産本部 経営リスク定量化ユニット