デジタイゼーション(個別業務の効率化)から、
デジタライゼーション(業務プロセス全体の改善)へ
「セクションごとに独自の業務の進め方が定着し、効率化しようにも他セクションでなにをしているかが分からない状況でした。」
婦人服、紳士服、子ども・ベビー服からホームウェアまで様々な衣料品を扱うほか、テキスタイル販売や小売事業も展開するタキヒヨー株式会社。国内外の生産ネットワークをベースに、トレンドデータの収集・分析から企画提案、生産、物流まで一貫して提供できる体制を強みとしています。国際認証の取得、リサイクル素材を使った製品の共同開発など、サステナビリティ事業にも積極的に取り組んでいます。

同社にとってもうひとつ大きなテーマが、DXです。数年前から部署ごとにクラウドツールやアプリケーションを導入して業務効率化を進めていますが、通関業務や配車業務などの個別の業務の効率化がスコープとなってしまい、「DXの初期段階である“デジタイゼーション”に留まっていました」と語るのは物流セクション リーダー 吉田壮志氏です。
全社的に業務プロセスを効率化するには、他セクションの業務を互いに理解する必要がありますが、簡単ではありませんでした。例えば、通関業務の担当者は、貿易書類にある仕入先の社名を見ても、その会社がどこにあるのか、どういう縫製工場や検品会社を通して完成品が届くのかなどはイメージできません。「年間4,000万枚もの商品を扱うのに、その生産背景がデータとして社内でオープンになっていない状況に課題意識を感じていました。企画から物流まで一貫して対応できる強みをさらに伸ばすためにも、このような“縦割り”の体制から脱却し、社内ナレッジを共有することが不可欠です」
「Chainable」をサプライチェーン情報の可視化と
社員間の共有に使う
「地図上に拠点情報をプロットし、体系的にデータを管理できるChainableは、生産背景の可視化にも使えそうだと考えました。」
そんな中、保険関連の取引があった東京海上日動から紹介されたのが「Chainable」です。当初は、生産委託する工場・拠点の自然災害リスクのアラートを通知するリスクコミュニケーションプラットフォームとしての提案でした。
「自然災害のリスク管理も重要ですが、地図上に拠点情報をプロットし、体系的にデータを管理できるChainableは、生産背景の可視化にも活用できるのではと、ふと思いついたのです」と吉田氏は話します。地図上にピンを立てる感覚で拠点を可視化でき、所在地や工場間の距離などを把握しやすくなります。また、Chainableには「Tier」という概念があり、仕入れ先の企業がどの縫製工場や検品会社を利用しているかをツリー構造で管理できます。「サプライチェーン全体のつながりを可視化し、社員の業務理解を深められると考えました。これまで社員がそれぞれExcelで管理していた情報を“最大公約数”としてChainableに集約することで、どのようにデータを持つべきか、データ標準化を考えるきっかけにもなります」

ほかのツールもいくつか検討しましたが、Chainableを広くサプライチェーンマネジメントに活用するというアイデアに対し、東京海上ディーアール社の担当者が前向きに応じてくれたことが印象的だったと吉田氏は振り返ります。「ニーズに応じたシステム改修も対応してもらえるとのことで、こちらの要望を出しながら、共同でツールを作り上げていくプロセスに魅力を感じ、Chainableの導入を決めました」
データを可視化、現状・課題をセクション横断で共有して、
DXを着実に進めていく
「Chainableでだれもが同じデータにアクセスできるようになれば、業務フロー効率化だけでなく、人材活用にも効果を期待できます。」
「どのセクション・階層にいる社員も、Chainableを通じてサプライチェーンの全体像を体系的に把握できるようにしたいと考えています」と吉田氏は将来像を語ります。例えば、同社ではASEAN地域への生産シフトを進めていますが、Chainableを使えば、どのエリアに生産委託先が集積しているのかを簡単に把握できます。「品質や生産品目などの生産背景が個人に散在していると全社で現状や課題を正確に認識することができません。データを標準化・可視化することで、見えてくるものは大きいと考えています」
さらに、セクションを超えた業務理解が進むことで、人材活用にもつながると続けます。これまでは情報が属人化し、人材育成も直属の上司・先輩の影響が大きくなっていました。限られた人員でも円滑に業務を進められる体制をつくっていくためには、この状況からの脱却が不可欠です。「日頃から自分の業務だけでなく前後のプロセスまで理解していれば、流動的な人材配置にも柔軟に対応できるはずです」。こうした社内でのナレッジ共有を加速することで、DXの次のステップである“デジタライゼーション”を着実に進めていきます。
吉田氏はプロジェクト全体を振り返り、「東京海上ディーアール社には、既存の着想にとらわれることなく、新しい活用法で製品のポテンシャルを最大限引き出そうと、非常に前向きに取り組んでもらっています。ニーズをしっかりと引き出したうえで、機能を改良しようとする姿勢が私たちにも伝わってきました」と振り返ります。「東京海上ディーアール社はあらゆるリスクへのコンサルティングも手掛けていますし、様々なリスクの可視化や対応を相談していければと思います」

タキヒヨー株式会社
- 本社所在地
- 愛知県名古屋市西区牛島町6番1号 名古屋ルーセントタワー 23・24階
- 事業内容
- アパレル・テキスタイル関連事業など
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工場施設が抱える火災・爆発リスクを調査し、想定事故シナリオを設定します。提供情報や弊社の事故・災害データベースを踏まえてリスクを把握し、想定事故シナリオに応じた最大利益損害額を算出します。算定結果は主に、事業継続計画等を策定する際の基礎資料や、最適な保険プログラム構築のための指標としてご活用いただけます。

東京海上ディーアールでは、世界各地の拠点の自然災害リスクを同一の基準で定性的・定量的に評価し、個別拠点の対策推進やグローバルな統一基準の策定に資する情報をご提供します。
